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冷涼なソノマ・コーストのトップ走者、ラジオ・コトーのピノ・ノワールとシラー

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 ピノ・ノワールで高得点をとる。ワイナリーの知名度を上げる早道だが、エリック・サスマンはそれだけにとどまらない。冷涼なソノマコーストのテロワールを表現するシラーやジンファンデルも驚くほどの出来だ。

 「ラジオ・コトー ハリソン・グレード シラー ソノマ・コースト 2013」は、オキシデンタルの標高240メートルの丘陵にあるビオの自社畑から。ブラックベリー、甘草、黒コショー、コリアンダー、香り高さと、綿菓子のようなテクスチャーに魅惑される。45%の全房発酵からくるスパイシーさと、太平洋まで1.3キロの涼しさがもたらすフレッシュ感が、巨大な果実、骨格とバランスをとっている。最良のエルミタージュを連想させる、冷涼気候のシラーだ。

 2012年に購入したこの畑は砂地ロームのゴールドリッジ土壌。2013年が初ヴィンテージとなる。夕方でも日差しは強いが、涼しい風が吹き続ける。栽培責任者が、鳥よけの網をかけて収穫に備えていた。エリックは「冷涼なソノマ・コーストのシラーはリスキーなビジネスだ」と。

 「ラジオ・コトー ルモレル ジンファンデル ソノマ・コースト 2013」も、オキシデンタルの自社畑から。涼しい海沿いに最初にシラーを植えた一族へのオマージュだ。発売されたばかり。ブラックベリーにレッドベリーが混じり、ダークチョコ、アールグレイ、ミントの複雑なアロマ、高い酸と強烈な果実、ストラクチャーを備えたエレガントなスタイルだ。海沿いから生まれるジンという分野に挑戦している。「スーパーライプでなく、クラレットスタイルを目指す」とエリック。

 ピノ・ノワールは7キュヴェのうち3つを試飲した。「ラジオ・コトー ラ・ネブリーナ ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2013」は、セバストポルとオキシデンタルの畑のブレンド。ザクロ、ブルーベリー、セージ、シルキーでフレッシュ。洗練されていて、あらゆる要素がきれいに統合されている。フィニッシュに森の下草がまとわりつく。アルコール度は13.4%。ラジオ・コトーを知るためのお手ごろな入門編だ。
 「ラジオ・コトー アルバリージ ピノ・ノワール ロシアン・リヴァー・ヴァレー 2013」は、セバストポルのヴァインヒル・ロードに近いゴールドリッジ土壌から。レッドチェリー、オレンジの皮、バラの花びら、骨格がしっかりあって、うまみが口中を駆け巡る。ソノマコーストより、果実の濃厚さとヴォリューム感は上回るが、19%の全房発酵がフレッシュなタッチを与えている。
 「ラジオ・コトー サヴォイ ピノ・ノワール アンダーソン・ヴァレー 2013」は、フィロの街の北西にある銘醸畑から。冷涼さを感じさせるクランベリー、サワーチェリー、スモーク、抑制されたミネラル・スタイルだが、骨組みはしっかりしている。タンニンがなめらかで、ミッドパレットが分厚い。フィニッシュは焦点があっている。全房発酵は10%。

 生産量の半分はメーリングリストに回し、残りは輸出とトップレストラン。高騰するピノ・ノワールが多い中で、ラジオ・コートの値付けは良心的だ。「あらゆるワインが好き」というエリックは、どのワインでも自然なアプローチを用いている。コント・アルマンのパルカル・マルシャンから教わったビオディナミを実践しながら、冷涼なソノマコーストを表現するトップランナーだ。

2016年8月22日 カリフォルニア・ソノマ郡オキシデンタルで

ラジオ・コトー ハリソン・グレード シラー ソノマ・コースト 2013
95点
ラジオ・コトー ルモレル ジンファンデル ソノマ・コースト 2013
92点
ラジオ・コトー ラ・ネブリーナ ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2013
93点
希望小売価格:9000円
ラジオ・コトー アルバリージ ピノ・ノワール ロシアン・リヴァー・ヴァレー 2013
94点
希望小売価格:1万2000円
ラジオ・コトー サヴォイ ピノ・ノワール アンダーソン・ヴァレー 2013
95点
希望小売価格:1万2000円
輸入元:中川ワイン

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