世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. カリフォルニアの大火、パラダイス・リッジやシニョネッロが焼失

カリフォルニアの大火、パラダイス・リッジやシニョネッロが焼失

  • FREE
 カリフォルニア北部の山火事は8日の発生から3日目に入り、依然として延焼が続いている。少なくとも15人が死亡し、パラダイス・リッジ、シニョレッロ・エステート、ホワイトロック・ヴィンヤード、フレイ・ヴィンヤードの4軒の歴史的なワイナリーが焼失した。強風が吹くとの気象予報もあり、危機的な状況が続いている。
 カリフォルニア在住のワイン・マーケッター鈴木優子さんの情報や現地報道を総合すると、多くの有名ワイナリーが被害を受けた。ソノマのサンタ・ローザにある「パラダイス・リッジ」は9日、焼け落ちた。幕末に渡米した薩摩藩の侍、長沢鼎(ながさわ・かなえ)の流れをくみ、パラダイス・リッジ・ワイナリーが継承した。丘陵の上にある眺望の良さから日本人の結婚式にも使われている。布袋ワインズのオーナー、ビル・キャンベル氏の発案で「カナエ・ザ・グループ・キング」を輸入している。
 ソノマでは、ワイナリー観光で有名なソノマ・ヒルトンやファウンテングローヴ・インも焼失した。1920年に建てられた「シャトー・セント・ジーン」もメイン・ビルディングが被害を受けた。「ニコルソン・ランチ」「マヨ・ファミリー・ワイナリー」「ガンドラック・バンドシュー・ワイナリー」なども被害を受けた。
 火災はナパ、ソノマ、レイク、メンドシーノのほか、ソラーノ・カウンティにも拡大した。ソノマ・カウンティでは200人以上が行方不明となり、少なくとも5万戸が停電している。避難に使われるハイウェイ101は煙で視界が300メートル以下となっている。各地で停電や電話の不通などが起きている。ナパ・ヨーントヴィルの3つ星レストラン「フレンチ・ランドリー」は9日、停電で休業した。休業しているワイナリーも多く、畑の作業員は仕事を止めて避難している。通行止めになっている道もあり、訪問受け入れはもちろん、出荷作業なども停止しているワイナリーが多い。ワイナリーが無事でも、社員の自宅が火事の被害にあって、テント生活を余儀なくされるケースもある。
 ナパヴァレーでは、シルヴァラード・トレイル沿いの「シニョレッロ・エステート」と1871年に創設されたソーダ・キャニオンの「ホワイト・ロック・ヴィンヤード」が焼け落ちた。ガロが所有する「ウィリアム・ヒル」のほか、トレジャリー・ワイン・エステート傘下の「スターリン・ヴィンヤード」と「ベリンジャー・ヴィンヤード」、「ダリオッシュ」「チムニー・ロック」「スタッグスリープ・ワイナリー」「セント・フランシス」「ホール」も被害を受けた。
 ナパヴァレー・ヴィントナーズによると、ナパヴァレーのブドウの90%は収穫を終えているが、高級ワイナリーの晩熟のカベルネ・ソーヴィニヨンなどはまだ収穫していないところもある。シルバラードトレイル、カリストガ、マウントヴィーダー、パトリックロード、ヘンリーロードは特に被害が大きかった。
 メンドシーノでは、オーガニックで知られる「フレイ・ヴィンヤード」が焼け落ちた。
 ナパから約100キロ離れたサンフランシスコでも煙が広がっていて、大気汚染の指数は「危険」となっている。このため、消防士はもちろん、電話や電気の復旧作業にも障害となっている。多くのホテルが値引きして、ペットを含む避難民を受け入れている。災害救済の募金活動も、ソノマやナパ、サンフランシスコなど各地で始まっている。
Twitter@MikeKollin
焼け落ちたパラダイス・リッジ(布袋ワインズ提供)
焼け落ちたパラダイス・リッジ(布袋ワインズ提供)
焼け落ちたパラダイス・リッジ(布袋ワインズ提供)
焼失前のパラダイス・リッジ(布袋ワインず提供)

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP