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カタルーニャ独立、大手カバ生産者が本社移転の動き

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 スペイン・カタルーニャ自治州政府の独立をめぐって、中央政府と自治州政府の対立が深まる中で、カバを中心とするワイン産業にも影響がある。カバ大手生産者コドニューやフレシネが本社移転の動きに出ている。
 スペインのラホイ首相は、27日の自治州政府の独立宣言を受けて、プチデモン州首相や閣僚を罷免するなど、1978年に施行された民主憲法下で初めて自治権制限の措置を打ち出した。飛び火する火種を抱えるEUや英国、イタリアに加えて、米国も中央政府のラホイ首相への支持を表明している。
 政治的な緊張の高まりに先立って、大手カバ生産者コドニューの持ち株会社ユニデコは16日、本社をペネデスからリオハのアロに移転する方針を発表した。コドニューは1551年の設立以来、ペネデスに本社を置いてきた。独立を問う住民投票に伴う政治的、法律的な混乱を避けるのが理由だが、移転作業を進めるかどうかは確かではない。ライバルのフレシネも、州自治政府が独立宣言をすれば本社を移転することを示唆した。
 カバの産地はカタルーニャの159の村を含むが、95%はペネデスから産する。コドニューとフレシネの2大ブランドがカバ生産の70-80%のシェアを占めている。世界的なスパークリングワインブームに乗って、カバの2016年出荷量は2億4500万本に達した。
 カタルーニャには1万軒のブドウ栽培農家があり、850を超すワイン企業がある。年間売り上げは16億ユーロを超す。スペインのワイン輸出量の8%を占め、うち半分はカバが占めている。輸出額では22%を占める。
 カタルーニャの独立は、カバだけでなく、プリオラートやモンサンの輸出が主体の生産者にも影響を与える。問題は英国のEU離脱以上に深刻だ。ブレグジットによって、スコッチ・ウイスキー産業はEU域内のゼロ関税や地理的表示(GI)の保護などの利益を失う恐れがある。それと同じく、カタルーニャが独立したら、「Product of Spain」のラベルを張って出荷してきたワイン産業は多くの不利益を被る可能性がある。国家を目指すとすれば、独自通貨の創設、EUの加盟から始めなければならない。関税、GIはもちろん、EU予算を使うプロモーションも不可能になる。
 ワイン産業以外でも、州内に拠点を置く企業が域外に移動する動きが出ている。カタルーニャは、域内総生産がスペインの国内総生産の2割を占める経済圏だが、主要な産業の流出は大きな痛手となる。

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