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トレンティーノのルフレーヴ、フォラドーリがアンフォラで仕込むテロルデゴ

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 イタリアには優れた女性ワインメーカーが多い。親からワイナリーを引き継いだ恵まれた人も多いが、トレンティーノを代表するエリザベッタ・フォラドーリはちょっと苦労人である。11歳で父ロベルトを亡くし、16歳で地元の醸造学校に通い、20歳でワイナリーを率いるようになった。2009年に夫を亡くし、自ら道を切り開いた。
 一つがビオディナミ。アルザスのマルク・クライデンヴァイスの助言に基づいで、2000年に始め、2002年には転換し、2009年にデメターの認証を受けた。もう一つがアンフォラ(ティナハ)。シチリアのCOSのジュスト・オッキピンティの勧めで、2008年からスキン・コンタクトによる白ワイン造りを実験的に始めた。6か月以上、蓋を閉じたままにして、最初は発酵が止まるアンフォラもあったという。やがて、失敗しなくなり、今は赤ワインの一部にも使っている。その一つ「テロルデゴ モレイ ヴィネッティ・デッレ・ドロミテ IGT」を試飲した。
 「フォラドーリ テロルデゴ モレイ ヴィネッティ・デッレ・ドロミテ 2013」(Foradori Teroldego Morei Vigneti Delle Dolomiti 2013)はすばらしくフレッシュ、ピュアな果実味が生き生きしていて、グリップのあるタンニン、サワーチェリー、ラズベリー、プラム、微妙な酸化を伴うテクスチャーはまろやかで、きれいに統合されている。うまみがたっぷりあって、リニアなフィニッシュ。ワイルドになりがちなテロルデゴのエレガンスを素直に引き出している。ノーチェ川に近い砂利の多い堆積土壌から。参考上代4900円。92点。
 一口目の印象は、ジョージアの優れたサペラヴィだった。フェザンツ・ティアーズやシャローリを連想した。それらより洗練されていて、フェノリックスのコントロールが正確で、ハーモニアス。エネルギーと緊張感がある。大樽で熟成するキュヴェ「グラナート」は偉大だが、土着品種の醸造にアンフォラをここまで適合させたフォラドーリの努力は称賛に値する。
 フリウリのヨスコ・グラヴナーを例に出すまでもなく、クヴェヴリはアンフォラという形で、イタリア各地に伝播した。ドロミテ山塊のふもとのフォラドーリが、東の近いフリウリではなく、遠く南に離れたシチリアのCOSから教わったのも興味深い。2012年から息子のエミリオがドメーヌに参画している。エリザベッタは意思の強さと革新性から、ブルゴーニュの故アンヌ・クロード・ルフレーヴと比較されている。納得である。
 輸入元はテラヴェール。

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