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UGCBが2014年引っ提げて来日、霜害の2017年にも期待

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 ボルドーの各アペラシオンを代表する135シャトーが加盟するユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー(UGCB)が来日し、20日に福岡と大阪、21日に東京で、2014ヴィンテージのトレード・テイスティングを開いた。
 福岡で200人、大阪で450人、東京で1000人の業界関係者が来日した。東京会場では19日に亡くなったシャトー・ブラネール・デュクリュのオーナー、パトリック・マロトーを悼んで、出展した92シャトーの代表者による追悼式が行われた。
 2014ヴィンテージはフレッシュ感があるクラシックなヴィンテージで、右岸と白ワインが優れる。ペサック・レオニャンの赤ワインの一部にはやや青さがあるが、シャトー・オー・バイィはカベルネ・ソーヴィニヨンが成功し、ジューシーで骨格のあるワインをものにした。プリムールでの樽試飲から素直に成長していた。支配人のヴェロニク・サンデルスは「2017年は4月の霜害で3分の1を失ったが、シャトーの周囲にある樹齢120年を超す樹は無事で、助けられた」と語った。
 サンジュリアン、ポイヤックは全体的に一貫した品質だが、今回の中でも優良だったのがシャトー・ピション・ラランド。ニコラ・グルミノーが2012年に支配人となってから右肩上がりだ。2014のピション・ラランドの深みと凝縮感はもちろん、サンテステフのド・ペズは格付けに匹敵する。土壌を調査して、メルロをカベルネ・ソーヴィニヨンに植え替えていて、骨格のたくましいポイヤックらしいスタイルになってきた。2017年は9月に雨が降ったが、カベルネ・ソーヴィニヨンの成功した年だという。ジロンド川に近い温暖さのおかげで、霜害の影響は少なく、生産量は10%の減少。
 「2014から2017年まで連続して試飲してくれれば、我々のワインがよくなっているのがわかるだろう。植え替えに加えて、5年前から18haでビオディナミにトライしている。(ルイ・ロデレールの)ジャン・バティスト・レカイヨンと相談している。我々の畑は90haだから少しずつ取り組んでいる。認証にはこだわっていない」と。
 近接するラトゥールやポンテ・カネに続いて、ピション・ラランドも加わり、3つのボルドー1級が集まるポイヤックも変わりつつある。
 2016年は傑作をものにしたシャトー・ラグランジュだが、2017年は霜害で打撃を受けた。サンジュリアンのやや内陸にあって、ジロンド川の恩恵が受けられない。丘の上にある畑の被害は少ないが、南側の低地の被害が大きい。収穫量は平年より40%減少となった。椎名敬一副会長は「少ない量でどうアッサンブラージュするのか。初めての体験です。とれたブドウの出来はいい」と挑戦心がうかがえた。
 1991年以来の霜害で、2016年のような豊作は望めないボルドーだが、栽培と醸造の技術の向上で、どのようなワインを仕上げてくるのか。4月のプリムール試飲が楽しみだ。
ピション・ラランドのニコラ・グルミノー
シャトー・オー・バイィのヴェロニク・サンデルス
ラグランジュの椎名敬一副会長とマティウ・ボルド社長
いつも仲睦まじいいドメーヌ・ド・シュヴァリエのオリヴィエ・ベルナールUGCB会長

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