世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. エレガントなル・パン2017 (ボルドー・プリムール2017)

エレガントなル・パン2017 (ボルドー・プリムール2017)

  • FREE
 ポムロールは小さなアペラシオンだが、土壌は複雑なモザイク状になっている。11.5haのペトリュスは純粋な粘土質に有名な青い粘土を含んでいる。道を隔てたラフールに青い粘土はない。2.7haのル・パンは南東部で、ペトリュスと接しているが、粘土の下の砂利が深く、豊かな鉄分を含んでいる。ペトリュスと同じく、メルロ100%で造られるが、仕上がるワインは異なる。新樽100%など醸造の違いもあるが、土壌の違いも大きい。
 オーナーのジャック・ティエンポンのいとこで、栽培を担当するヴュー・シャトー・セルタン当主のアレクサンドル・ティエンポンは「メルロは砂利土壌が主体になると軽くなる。ペトリュスは純粋な粘土だから重厚になる」と語る。ル・パンは確かにフルボディではないが、エキゾチックな香り高さとしなやかなテクスチャーで万人を魅了する。ル・パンのデビューは1979年。1982がロバート・パーカーに評価されたガレージワインも来年は40周年を迎える。
 ル・パンのプリムール試飲は、昨年からセラーではなく、ジャックの自宅で行われるようになった。彼の妻は世界を飛び回るフィオナ・モリソンMW。大量の書物に囲まれた部屋でル・パン2017を試飲した。
 4月の霜害は畑がプラトーにあるおかげで免れた。7、8月にはグリーン・ハーベストを行って余分な実をカットした。ブドウの熟度にばらつきがあったため、若い樹は9月12日に収穫を始め、ほかの区画は18日から21日の間に収穫した。収量は32hL/ha。アルコール度は13.9%におさまった。

 「ル・パン 2017」(Le Pin 2017)はスミレ、ブラックプラム、ミント、バルサミックでジューシー。フローラルで、香り高く、テクスチャーはスムーズ、生き生きしていて、重厚感はない。愛すべきバランスがあり、2016のような怪物的パワーではなく、極めてエレガント。しったかりしたストラクチャーがあり、フィニッシュにかすかなヨード香。約500ケースの生産。「2001や2000よりいい」とジャック。95点。
 ジャックがサンテミリオンで力を入れるのがリフ(L'IF)。トロロン・モンドの下の斜面にあり、砂利と粘土土壌。2017年は7月と8月の干ばつに悩まされたが、9月は涼しく、ゆっくりと成熟。メルロは28日と30日に収穫。カベルネ・フランは10月4日に摘んだ。

 「リフ 2017」(L'IF 2017)はメルロ91%、カベルネ・フラン9%。紫の強いガーネット、ブルーベリー、カシス、シルキーで、なめらかなタンニン、明るい果実が生き生きと躍動する。ミッドパレットにふくらみがあるミディアムボディ。カベルネ・フランがフィニッシュに浮遊感を与えている。新樽と1年樽を半々で熟成。収量は30hL/ha。アルコール度は14.2%。92点。

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP