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JALエコノミークラス、2人のアドバイザーがブレンドしたオリジナルワイン「DOUBLE "O"」導入

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 JALが国際線エコノミークラスに、品質にこだわったオリジナルワインを導入する。ワインアドバイザーの大橋健一MWとワインテイスターの大越基裕さんが、フランスで自らブレンド作業を行い「DOUBLE "O"」を造り上げた。8月からロンドン、パリ線を手始めに導入する。
 航空会社はビジネス・ファーストクラスのワインリストは工夫をこらし、顧客獲得のツールとしているが、エコノミークラスは大手ネゴシアンの産業的なワインを使うケースが多い。エコノミークラスのワインのコストは1人当たり1-2ユーロしかかけられない制約があるためだ。オリジナルで生産する例は世界的にも珍しい。
 26日に行われた発表会見で、執行役員の路線統括本部商品・サービス企画本部長の佐藤靖之さんは「エコノミーはファーストやビジネスのように、ワインの選択肢が多くないので、自分たちで造ろうということになった。エコノミークラスは搭乗するお客様も多く、力を入れていく。幸運なことに、搭乗率は高くなっているが、路線や機材はすぐに増やせない。お客様の満足度を上げて、ロイヤリティを高める。それが収益性にも寄与する」と語った。LCC(格安航空会社)と差別化する狙いもある。
 「DOUBLE "O"」のブランド名は「大橋」と「大越」の頭文字をとった。2人がブルゴーニュ地方マコンのメゾンポール・サパン社とタッグを組んで、開発した。南仏ラングドック・ルーションから調達したブドウで仕込んだワインをまず日本で試飲。今年1月に現地に飛んで、多数のキュヴェからブレンドした。187mlのプラスティック瓶に詰められている。生産量は約60万本。
 白はグルナッシュ・ブラン(56%)を主体とし、マスカット(27.5%)のさわやかさとヴェルメンティーノ(12%)の厚みを加え、ゲヴェルツトラミネール(1.5%)とヴィオニエ(3%)の芳香を加えた。
 赤の主体は果実味豊かなグルナッシュ・ノワール(57%)。シラー(24%)が酸を与え、柔らかさと豊かなタンニンを有する交配種マルセラン(9%)を加え、香り豊かなマスカット(5%)とカリニャン(5%)をブレンド。
 白は適度な果実とフレッシュ感があり、マスカットの香り高さが生き、ゲヴェルツトラミネールのスパイシーな甘さが後を引く。赤は柔らかく、適度なストラクチャーと厚みがある。機内ではもっぱらビールかカクテルの私だが、これなら飲んでみたい。
 飛行機の機内は気圧が低く、乾燥している。風邪になったときのように鼻がきかない。騒音もある。そのため、甘さや塩気のフレーバーをとらえにくい。
 大越さんは「食事とお酒は機内の大きな楽しみの一つだが、これまでは選択肢が少なかった。食感の柔らかい料理が多いので、ワインをソフトなタッチに仕上げ、バランスの良さを重視した。香りを楽しむ飲み物なので、白も赤も香り高いマスカットをブレンドしたのがカギ」と語った。
 大橋MWは「重さを減らすという環境的な配慮から、プラスティック瓶を採用したが、プラスティック瓶は酸素透過性が高い。ポール・サパン社はMWの履修時代から通っていて、瓶内の溶存酸素を最小限にできる瓶詰め技術を持っているのを知っていた。酸化防止剤を多く加えなくてもすむ。思わず笑みが出るようなワインに仕上がったのでは。JALのエコノミーのワインが世界で一番おいしいと感じていただければ幸いです」と語った。
2人の横顔がラベルに
左2人目から大越基裕、佐藤靖之、増田是人(国際交流基金ジャポニズム事務局長)、大橋健一氏

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