世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. サヴニエールの新星、ピュアでエネルギーあふれるダミアン・ロロー

サヴニエールの新星、ピュアでエネルギーあふれるダミアン・ロロー

  • FREE
 ロワールのワインには、まだ驚きの発見がある。

 とりわけ気になるのはシュナン・ブランである。アンジュ、ソミュール、トゥーレーヌと多岐にわたる地区から、スパークリング、辛口、半甘口、甘口と様々なタイプに仕立てられる。南アフリカ、ニュージーランド、カリフォルニアなど新世界からも優れたシュナン・ブランが生まれているが、ロワール川中央部が、自分の中では一つの評価基準となっている。
 
 アペラシオンで言うなら、やはりアンジュの西に位置するロワール川右岸の東南向き斜面に広がるサヴニエール。サヴニエール・ロッシュ・オー・モワンヌとクーレ・ド・セランも合わせて3つのAOCが存在する。20年以上前、急斜面に広がるクーレ・ド・セランのビオディナミの畑を初めて訪れた時の驚きは忘れられない。ただ、値段も上がったため、普段飲んでも懐の傷まない辛口ワインを常に探している。

 ダミアン・ロロー(Damien Laureau)は最近の大ヒット。サヴニエールとサヴニエール・ロッシュ・オー・モワンヌに8.5haの畑を所有する。2006年から生産を始めた若手のホープ。2009年にオーガニックへの転換を始め、12年にエコセールの認証を得た。適切な熟度に達するのを待って、低収量で収穫する。野生酵母による発酵は1年間も続くことがある。

 アルコールが高すぎたり、還元が強かったりということがなく、糖度と酸のバランスが優れている。ピュアさ、透明感、エネルギーをどのワインも備えていて、アプローチャブルだが、熟成の可能性もある。評価本「ラ・ルヴュ・ド・ヴァン・ド・フランス」や「ル・ギィド・デ・メイユール・ヴァン・ド・フランス」でも星を獲得し、高く評価されている。

 「ダミアン・ロロー サヴニエール・プティット・ロッシュ 2015」(Damien Laureau Savennieres Petite Roche 2015)は、生き生きしたカリン、グレープフルーツ、ピュアで、キレのいい酸、軽快だが、コアに熟した果実がある。フレッシュでエレガント。塩気を帯びたフィニッシュは心地よく、伸びがある。素晴らしいお値打ち。2900円。89点。

 アンジュの母岩は砂岩と石灰を含むシスト(片岩)。プティット・ロッシュはシストの強い土壌から生まれ、フレッシュ感が際立っている。重厚感はないが、最良のデイリーワインが生まれる。サヴニエール・レ・ジェネは、シストに砂質が交じり、熟度が高くなる。

  「ダミアン・ロロー サヴニエール・レ・ジェネ 2014」(Damien Laureau Savennieres Les Genets 2014)はフリンティで石をなめるようなミネラル感。まろやかなテクスチャー、かすかな甘みを含むよく熟した果実はエレガントでピュア、口中で弾ける。酸は高めだが、流れるようにシルキー、力強さと緊張感を備えている。長期熟成のポテンシャルがある。樹齢は25-50年。ニュートラルなフレンチオークとタンクで18か月間の熟成。4600円。92点。

 サヴニエール・ル・ベル・ウーヴラージュは、クーレ・ド・セランのあるエピレ村の3つの畑のブレンド。砂質は少なく、シスト主体ながら粘土比率が高く、鉄分が豊富。樹齢は50年に達する。

 「ダミアン・ロロー サヴニエール・ル・ベル・ウーヴラージュ 2014」(Damien Laureau Savennieres Le Bel Ouvrage 2014)は熟度が高く、アルコール度は13.5%のフルボディ。黄金色が強く、キンモクセイ、カリンのコンポート、太い果実が真っ直ぐに口中に飛び込み、垂直に伸びていく。グリップがあり、凝縮していて、しっかりしたストラクチャー。力強いが、透明感に彩られている。継ぎ目のないフィニッシュ。タンクで発酵し、中古の樽とタンクで熟成。6600円。93点。

 市場を探せば、サヴニエール・プティット・ロッシュとサヴニエール・レ・ジェネは、2500-4000円で見つかる。ミネラル感に富むシュナン・ブランの愛好家はぜひ試してほしい。輸入元はテラヴェール。

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP