伝説的生産者ウォーレン・ウィニアルスキー、UCデイビス図書館に330万ドルを寄付

　カリフォルニア・ナパヴァレーのスタッグス・リープ・ワイン・セラーズ創業者で、1976年のパリテイスティングでボルドー勢を打ち負かした生産者ウォーレン・ウィニアルスキーが、カリフォルニア大デイビス校の図書館造りのために330万ドルを寄付した。

　UCデイビスは、有名ワインライターや評論家らの著作を所蔵するライブラリー作りを進めている。1287年までにさかのぼるワインについての書籍、原稿、資料、地図など3万点を蓄積しており、ロバート・モンダヴィ、ロバート・トンプソンら、ジャンシス・ロビンソン、ヒュー・ジョンソンらが寄贈している。ジョンソンは「世界で最も偉大なワイン図書館」と評している。

　ウィニアルスキーは1928年生まれのポーランド移民。1964年に夫妻でナパヴァレーに移住。66年から2年間は設立間もないロバート・モンダヴィ・ワイナリーで、兵役についていたマイケル・モンダヴィに替わってワインを造った。69年にスタッグス・リープの土地を購入し、2度目の収穫となった赤ワイン「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ　カベルネ・ソーヴィニヨン　1973」が、ボルドー勢を打ち負かして、ナパヴァレーのワインの卓越性を示した。ワインボトルは「アメリカを作った101のオブジェクト」として、ワシントンのスミソニアン博物館に展示されている。

　ウィニアルスキーはUCデイビスのメイナード・アメリン教授の栽培・醸造の講義をとって、ワイン造りを学んだ。今回の寄付はその恩返しだという。

　「ライターたちがいかにワイン産業の発展を助け、ワイン哲学に影響を与えたかを知らせる強力なリソースを生み出せたらと願っている」とUCデイビスの発表で、コメントし「ワインライターは産地やワインのタイプについて書いただけではない。より良いワイン造りに必要なツールをワインメーカーに与えた」と語った。ワイン図書館が将来のワイン造りの役に立つことを期待している。
　
　ウィニアルスキーはまだまだ元気で、2017年5月に来日して健在ぶりを示した。パリテイスティングでは、シャトー・モンテレーナのシャルドネをワインメーカーとして造ったマイク・ガーギッチと並んで、現存する数少ない中心人物。