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ブドウ畑のど真ん中で炎の料理、肉と鮭を豪快に食らうチリのレストラン

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 南米のワイン産地を旅していると、ブラジルの存在感の大きさに改めて気付かされる。政治腐敗と財政赤字は続いているが、インフレ基調で景気は上向いている。チリのワイン観光を支えているのは、ブラジルの富裕層だと、どのワイナリーも口をそろえる。
 
 アウレリオ・モンテスがコルチャグア・ヴァレーのアパルタに切り開いたワイナリー「モンテス」のレストラン「フエゴス・デ・アパルタ」(FUEGOS DE APALTA)も、ブラジル人観光客がメインだった。ブラジルからサンティアゴまで飛んできて、ヘリコプターで日帰りするツアーが人気だそうだ。車でも1、2時間なのに,ずいぶんと豪勢である。

 「フエゴ」とはスペイン語で「火」を意味する。その名の通り、ここでは鉄板や薪を使った豪快な炎の料理を供する。畑の真ん中にガラス張りのレストランがあり、360度開けたブドウ畑を眺めながら、料理人たちが焼き上げる肉や魚を食らう。食べるというより噛み切るという感じだ。ラテン・アメリカの各地にレストランを展開するフランシス・マルマンが総料理長を務める。ネットフリックスでも人気の、いわゆるTVシェフである。

 コンセプトも巧みだが、出てくる料理が有無を言わせない迫力にあふれている。巨大な牛肉のリブアイやサガリ(横隔膜)を、一見豪快だが、繊細な火通しで大皿に盛り付ける。噛みしめると肉汁がジュワッと広がる。野生の本能がよみがえる。命をいただいていると実感がこみ上げる。添えるのはネギやパプリカなどの地元野菜とポテト。十数種類もあるポテトは、街道沿いでも10キロ単位で売っていて、チリ人の大好物だという。

 サーモンも、かつて見たことがないほど巨大。大味ではなく、ジューシーで、きめ細かい。料理人が塩だけで鉄板の上で焼いている。太平洋のエネルギーを放射するこのサーモンを食べていると、日本の鉄板焼きは箱庭にすぎないと思い知る。チリのサーモンの出荷量は世界2位。食材の力強さがあって初めて成り立つレストランであり、小細工せずにど真ん中剛速球で投げ込むシェフの姿勢が正しい。

 このレストランのために日本から24時間かけてチリまで飛ぶのは難しいだろうが、サンティアゴに立ち寄る機会があれば訪問する価値のあるレストランだ。
巨大なサーモンを炒めたご飯と
パン粉をまぶしたリブアイ
ジューシーなサガリ
肉汁が飛び出すエンパナーダ
サーモンは慎重に火入れ
肉は豪快に焼き上げる

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