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チリのヴェンティスケーロ、ビール×ワインの「イリーガル」からカルメネールまで独創的

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 チリの産地を特色づける大きな要素が、太平洋を流れる寒流とアンデス山脈である。両者からの位置関係によって、ワインの性格も変わる。セントラル・ヴァレーのコルチャグア・ヴァレーには、アンデス山脈側のやや温暖な畑と沿岸部の冷涼な畑の両方があり、赤ワインと白ワインを産する。

 中央部のアパルタ丘陵に有名ワイナリーが集中しているが、ヴェンティスケーロは興味深い取り組みをしている。コルチャグア・ヴァレー以外にも自社畑を所有し、土壌調査に基づいて、特色あるワインを生産している。エントリーレベルのクラシコ、レセルバのワインもいいが、品質とヴァリューのバランスがとれているのが、単一畑「グレイ」シリーズである。

 「ヴェンティスケーロ ソーヴィニヨン・ブラン グレイ 2016」(Ventisquero Sauvignon Blanc Grey 2016)は北部アタカマ砂漠の単一畑ロンコミア・ヴィンヤードから。シソ、パッションフルーツ、キレのいい酸があり、アルコール度は控えめ。香り高く、適度なエキスがあり、塩気を帯びたフィニッシュ。ステンレスタンクで発酵し、オリと共に保存し、バトナージュしている。3000円。89点。

 「ヴェンティスケーロ カルメネール グレイ 2014」(Ventisquero Carmenere Grey 2014)はマイポ・ヴァレーの単一畑トリニダド・ヴィンヤードから。2%のプティ・ヴエルドをブレンド。ややハーバルで、黄色のパプリカ、ブラックチェリー、チョコレート、スパイシーで、ミッドパレットのふくらみがある。スパイシーなフィニッシュは中程度。80年代のボルドーを思い出させる。89点。

 ワインメーカーのフェリペ・トソはオーストラリアのジョン・デュヴァルのコンサルティングを受けながら、意欲的なワインを生産している。世界で初めてビールとワインをフュージョンした「イリーガル」もその一つ。ワイナリーでは試飲の最後に、これが出てきて口内をニュートラルにしてくれた。大量のワインを試飲するコンペティションの後はビールがいいが、これはそこにワインの風味が加わる。

 「イリーガル モルテッドワイン」(Ilegal Malted wine)は、破砕した大麦を熱湯に入れ麦汁を作り、サーズホップを加えクラフトビールを造る。そこにソーヴィニヨン・ブランをブレンドして瓶内二次発酵を行う。サーズホップは苦味がない。最初の香りはビールのホップ、やがてレモンの皮、柑橘類のさわやかなトーンが出て、フレッシュな酸が広がる。軽やかなテクスチャーで、リフレッシュングさせられる。ライムを入れたコロナビールと似たアロマだが、エキスと深みがあり、ビールのべたつく粘りがない。のどごしを味わうのではなく、口中にとどめてゆっくりと味わいたい魅力的な淡物だ。和食との相性がいい。アルコール度は6%。700円。

 輸入元はアルカン。
ワインメーカーのフェリペ・トソ
ドライファーミングを導入

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