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世界最優秀ソムリエコンクール、森覚・岩田渉さんが決意表明

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 3月10日からベルギー・アントワープで開かれる世界最優秀ソムリエコンクールに出場する日本代表の森覚さんとアジア・オセアニア代表の岩田渉さんの壮行会が、8日、東京都内のホテルで開かれ、2人とも勝利への決意表明をした。

 

 ソムリエコンクールの出場選手は若返っている。3年前のアルゼンチン大会で優勝したスウェーデン代表のジョン・アルヴィッド・ローゼングレンは31歳だった。それでいて、昔よりはるかに高次元のファイトになっている。

 

 田崎真也・日本ソムリエ協会会長は「情報が世界に行き渡り、筆記試験やテイスティング、サービスのトレーニング方法や実際の闘い方は行き渡っている。どの国もレベルが上がり、差がつきにくくなっている。決め手は、技術を超えてこのソムリエにサービスされたいか、オーナーとして雇いたいかという点にかかってくる。日本人選手の分かれ目となるのは語学だろう。2人とも達者だが、他国の選手ははるかに熟練していて、きわどい場面で差が出る可能性はある」と、現在の世界のソムリエ業界のレベルの高さを解説する。

 

 森さんは2010年のチリ大会に始まり、東京、アルゼンチンと出場し、今回は4回目となる。「23歳から18年間、コンクールを続けてきた。トップ以外は意味がないのがコンクール。退路をたって、最後の挑戦をする。次世代に残せるものを見つけたい。1位を目指してがんばる」と、聴衆の前で決意表明した。

 

 彼の3度にわたる世界舞台の経験は大きな武器だ。「ジェラール・バッセ、パオロ・バッソ、ジョン・アルヴィッド・ローゼングレンのパフォーマンスは印象に残っている。このソムリエにサービスを受けたいと、審査員に思ってもらえるようなサービスを披露したい。私の場合、ガッツやエネルギーが前に出がちだが、アルゼンチン大会で、石田博さんから学んだ落ち着きや安定感も新境地として表現できれば」と抱負を語った。

 

 岩田さんは2018年4月の全日本最優秀ソムリエコンクールに初出場で優勝し、10月のアジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクールも制した。昨年末に京都のバーを退職し、コンクールの準備に集中している。勢いに乗ったまま、世界の舞台に初挑戦する。

 

 「準決勝以降はYoutubeで放送されるので、目の醒めるようなパフォーマンスを見せたい。今はワイン以外のビールやスピリッツの勉強をしている。メンタルとフィジカルの両面を最高に持っていきたい。緊張感を保ちながら、笑顔の絶えないサービスを心がける」

 

 本番まであと1か月。2人とも週に2、3回は石田さんをメンターに、英語の試飲コメントの表現やサービスの細部を緻密にブラッシュアップしている。3つ星フレンチ「ロオジエ」の中本聡さん(ソムリエ協会副会長)の下で研修もする。コンクール経験者を動員して協会挙げてのサポート体制だ。

 

 森さんは元部下のソムリエール勤めるニュージーランド・オークランドのレストランで、英語環境での実戦のカンを磨く。優勝した故ジェラール・バッセや上位選手は、ホームグラウンド以外の未知のレストランで働いて、トリッキーなひっかけ問題にとっさに対処する技量を鍛えた。コンクール歴の長い選手ならではの知恵に基づく直前対策だ。

 

 ソムリエコンクールは、英国やフランスなどの伝統国の選手が強かったが、近年はラトビアや北欧などヨーロッパの周辺国からも実力選手が登場している。個人が技術を磨く”個人戦”から、国を挙げての”団体戦”に移行しつつある。その意味では、まさにオリンピックのような国を挙げての戦いの様相を呈している。

 

 モントリオール大会で3位に入賞した石田さん(ソムリエ協会副会長)は独力で鍛錬するた比重が大きかった時代の自らの経験を踏まえて、きめ細かなコンクール対策を強化している。「新興国ではソムリエ協会挙げて、選手をバックアップしている。それによって短期間で成長し、よい成績につながっている。日本でも様々なトレーニングを充実させる体制を整えている。それが将来にもつながる」と話した。

 

田崎真也JSA会長の激励を受ける森覚さん(右)と岩田渉さん
英語での流暢なコメント
よどみなく客と会話しながらデカンタージュ

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