サンセールは10年以内が安全、コタとメローで失敗

　飲み頃をすぎたワインほど悲しいものはない。赤ワインならまだいいが、白ワインは許せない。

　サンセールの長寿で知られる造り手のパスカル・コタとアルフォンス・メロー。数年程度では若々しく、5年は寝かせておきたい。だが、さすがに今回は失敗だった。安い値段につられて購入したのは、パスカル・コタのレ・モンダネ1997とアルフォンス・メローのキュヴェ・エドモンVV1998。

　15年以上。ブルゴーニュならまだ飲める造り手は多いが、サンセールは生き生きした果実味と柑橘、じゃ香の香りが持ち味。いずれもフルーティな段階は通り過ぎていた。ややシェリー的で、ルーサンヌかと思うほどの粘性。飲んでいる間に思い出した。1年ほど前にディディエ・ダギュノーのシレックス1996を飲んだことを。

　あのワインもローヌ的だったが、酸は残っていた。今回は酸が足りないので、輪郭がぼやけている。重心が低く、浮き上がるところがない。この白ワインに合わせられる料理は思い浮かばない。

　コタは古樽で醸造する。キュヴェ・エドモンはムーシェールの区画から樽で醸造するワインで、シレックスと並び称されるサンセール。にしては、格の差が出た。濃密でリッチだったことはわかるが、それを支える酸と構造が足りなかったのだ。

　やはりサンセールは10年以内に飲んだ方がいい。コタやメルローのような長命のワインの造り手でも、5年から10年が安全圏。それがわかっただけでもよしとしよう。

　失敗はしたくないが、失敗しなければわからないこともある。

（2014年2月　自宅で）
パスカル・コタ　サンセール　レ・モンダネ　1997　
アルフォンス・メロー　サンセール　キュヴェ・エドモンVV　1998
購入：横浜市内のショップ　3150円と4000円
死ぬまでにもう一度は飲みたい度：85点