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2020年フランスワイン輸出額、13.9%減の121億ユーロに落ち込み…対米貿易摩擦とパンデミック

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 2020年フランスのワインとスピリッツの輸出額は、パンデミックや最大市場の米国の25%関税によって、13.9%減少し、121億ユーロに落ち込んだ。


 フランスワイン・スピリッツ輸出業者連盟(FEVS)によると、スピリッツの輸出は、ロックダウン中の世界各国のカフェ、クラブ、レストラン、ホテルの閉鎖によって、金額では19.4%の大幅な減少。ワインは11.3%の減少となった。


 米国はフランスのワインとスピリッツの輸出額の約4分の1を占める最大の市場だが、2020年は18%減少し、31億ユーロとなった。


 フランスのワインとスピリッツは、航空・宇宙分野に次ぐ輸出産業。2019年の輸出額は、5.9%増加して140億ユーロ(151億ドル)の新記録を達成した。ただ、米国が2019年10月に25%の追加関税を課したため、2020年の減少が予想されていた。


 2020年の旧正月前に新型コロナウイルスが流行した中国本土向け輸出は15%減少し、香港向けは6%、シンガポール向けは31%減少した。


 米国とEUの貿易摩擦はEUによる航空機エアバスとボーイングへの補助金を巡る問題から始まった。2021年1月にはバルクワインを含むすべてのスティルワインとコニャックのようなワイン・ベースのスピリッツに25%関税が拡大され、スティルワインはアルコール度14%未満が対象だったのが、14%以上に範囲が拡大された。


 パンデミックから回復しても、米国向け輸出は減速の要因となりうる。


 FEVSのセザール・ジロン会長は「状況は深刻で、最も緊急性が高い。世界有数の市場でのフランスワインの存在だけでなく、我々の輸出企業とワイン産業の50万プレイヤーの持続可能性を危うくしている」と述べて、問題解決が急務であると訴えた。

 

 ワイン貿易における関税は、ワイン取引に大きな影響を与える。日本でチリワインが6年連続のトップ輸入ワインなのは、チリワインの関税が撤廃されて、自由貿易の恩恵をこうむっているからだ。日EU経済連携協定が2019年2月に発効して、ワインの関税が撤廃されたことで、2019年のフランスワインの輸入量は12%増加した。


 米国にバイデン政権が発足したが、早期解決のめどは見えていない。当面はヨーロッパのワインや農産物に対する関税を維持する方針で、これはフランスのワイン産業だけでなく、米国のインポーター、小売商、レストランにもインパクトが大きい。消費者のフランスワイン離れを招くリスクがある。


 消費者は1本15ドルだったワインに20ドル近く払うことになる。富裕な愛好家がワインショップで、シャトー・ラフィット・ロートシルト2018に支払う金額は、1本1000ドルだったのが1250ドルになる。

 

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