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米国で消費者への直接販売が急増、人気はお手頃価格ワイン…新型コロナウイルス

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 2020年の米国のワイナリーの消費者への直接販売量が大きく増加した。ラグジュアリーなお酒であるシャンパーニュでも消費者への直接販売の動きが広がっている。新型コロナウイルス禍の中で、生産者もオンプレミスだけでなく、デジタル・チャンネルでの販売強化を模索しているが、課題も残されている。


 米国のアルコール飲料ソフト企業「Sovos ShipCompliant」とワイン産業のデータ分析企業「Wines Vines Analytics」が発表した「消費者への直接販売出荷レポート2021」によると、2020年の「Direct-to-consumer」(DtC)の出荷量は2019年より27%増加し、ワイナリーから消費者への出荷量は839万ケースに達した。米国の1100を超すワイナリーの年間4000万件を超す出荷を分析してはじき出した。


 全米各地のロックダウンやレストラン、ホテルの営業規制により、世界最大のワイン消費国である米国の消費者がワイナリーの直接販売に目を向けたと見られる。


量は増えても1本あたりの価格は低下


 ただ、DtCの出荷額は2019年の32億ドルより14.9%の増加にとどまった。1本あたりの平均価格は前年より9.5%低い36.83ドルに下がった。ワイナリーがデジタルなマーケティングやZoomでのテイスティングに力を入れる中で、直接購入は増えたものの、消費者が価格には慎重で、手頃なワインを求める傾向がうかがえる。


 1本30ドル以下のワインの出荷量は41.6%と急増したが、1本100ドル以上のワインの売上は2%減少した。長らく消費者に愛されてきたカベルネ・ソーヴィニヨンは、比較的高い価格帯のため、売り上げが伸び悩んだ。


 こうした傾向を反映して、ソノマ郡のDtCの出荷量は過去最大の37.6%増を記録し、DtC全体の約40%を占める。これまで価格が高めにもかかわらず最大の出荷量だったナパ郡を抜いた。


 Eコマースの成長は続くが、DtCがワイナリーのテイスティングルームやレストランでの売り上げをカバーできるとまでは言えず、今後も価格競争が続くと見られる。


シャンパーニュでもDtCのポータルサイト設立


 一方、ホテルやレストラン、イベントなどホスピタリティ産業に依存してきたシャンパーニュでも、DtCの動きが広がっている。シャンパーニュの2020年の出荷量は、前年を18%下回り、出荷額は10億ユーロ減少した。


 ダムリーに本拠を置くARルノーブルはフランス市場だけのEコマース・サイトを昨年9月に設立。フィリポナも国内向けのDtCプラットフォームを12月に始めた。高品質な協同組合として知られるパルメも昨年4月にポータルサイトを始めた


 だが、いずれも市場が限定されている。ヨーロッパ域内への出荷は法的な手続きや物流でクリアすべき課題が多い。ブティック・メゾンはいいが、生産量の多いメゾンが本格的に導入するには時間がかかるだろう。

試飲販売でにぎわうナパのシャトー・モンテレーナ

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