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ワイン偽造犯ルディ・クルニアワンが強制送還、今後の動向に注目高まる

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 コンティ博士と呼ばれたワイン偽造犯のルディ・クルニアワンが刑期を終えて出所し、インドネシアに強制送還された。米国で初めてワイン偽造犯として逮捕された男の今後の動向に注目が集まっている。


 ワイン・スペクテイターによると、クルニアワンは移民・関税執行局(ICE)によって強制送還の手続きが行われ、8日にダラス空港からインドネシアに送られた。


 44歳のクルニアワンは1990年代初期に米国に着いて、留学ビザでほぼ10年間、滞在した。2001年に滞在を申請したが却下され、さらに2年間、不法滞在した。


 クルニアワンは2000年代初期に、オークションや試飲会のサークルにいきなり登場し、若きワイン専門家ともてはやされ、「コンティ博士」と呼ばれた。2006年には、アッカー・メラル&コンディットの2件のオクーションで、彼の委託したワインは計3400万ドルの記録的な売り上げを上げた。


 だが、2008年に開かれたオークションで、ローラン・ポンソが生産されていないドメーヌ・ポンソのワインをオークションから取り下げるように求めたのがきっかけで、ワイン偽造の疑いが強まった。2012年にFBIに逮捕された。2013年に懲役10年の判決を受けたが2020年11月に7年で出所。不法滞在の罪でICEに引き渡された。


 FBIが2012年にクルニアワンの工房を捜査した際は、数百点のボトル、ラベル、コルク、スタンプを押収した。安いナパやブルゴーニュのワインを詰めた例もあった。だが、近年の空き瓶を利用した高級ワインの精度は、10年前よりはるかに高まり、専門家でも真贋鑑定が難しい例も出ている。


 中国系のクルニアワンは、インドネシアにビール販売業を営む裕福な家庭を持っているという。オークション、ショップ、コレクター関係者は、クルニアワンが偽造に関わるのではないかと、その動向に警戒心を強めている。


 クルニアワンは判決で被害者への賠償金として2840万ドル、さらに没収契約の一環として2000万ドルの支払いを命じられた。また、偽造ワインで損害を受けた富裕な実業家のコレクター、ビル・コッチはクルニアワンに対する訴訟で、300万ドルの和解金と、偽造ワイン調達の詳細を明かすよう求めているが、クルニアワンは約束を守らず、破産を主張した。


 クルニアワンはNetflixの2016年のドキュメンタリー「Sour Grapes」の題材になった。偽造した1万2000本以上のワインはコレクターの手元にあると見られる。クルニアワンが刑務所にいる間も、彼が偽造したワインは世界の高級ワイン市場で流通している。事件はまだ終わっていない。


 

(C)ICE

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