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シャンパーニュのセロスやペテルスもNFTプラットフォームで販売

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 NFT(Non-fungible token)を利用してワインを取り引きする新プラットフォーム「Wokenwine」(ウォーケンワイン)の、ジャック・セロス、ピエール・ペテルス、シャトー・ド・ラトゥールなど名門生産者10社のワインが加わる。ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレールに続く動きで、ワイン産業でのNFT取り引きが一気に広がる可能性が出てきた。


 NFTは「代えのきかないしるし」の略。ブロックチェーンを使って本物の証明をつけたデジタル資産をさす。ブロックチェーンは取引データを複数のコンピューターの暗号技術を組み合わせて鎖のようにつなぐ仕組み。主に暗号資産を使って売買され、取引の記録が残される。


 高級ワイン取り引きの主軸が、対面販売からオンラインに移って、偽造ワインが深刻な問題となっている。ワイン商、ブローカー、オークションハウスなど取り扱い業者の、真贋鑑定能力はまちまちで、取り引き上の倫理観も保証されていない。


 EC(欧州委員会)の欧州不正対策局は先日の会合で、この数年でEUとモルドヴァで42万1000本の偽造ワインが欧州されたと発表した。国際的なワイン取引の20%が影響を受けているという指摘もある。


 いち早くウォーケンワインへの参加を発表した、ルイ・ミシェル・リジェ・ベレールは怪しげなボトルに対面したことが何度もある。生産物の真正性を保証するのが生産者の責任だと考えている。2020ヴィンテージから生産量の1割程度をプラットフォームに乗せる。


 このプラットフォームでは、各ボトルが蔵元から仲介業者を通じて消費者にわたるまでの履歴がブロックチェーン上に記録される。改ざん不可能な真正性の証明書として機能する。高価なブルゴーニュワインが、日本の正規輸入元ではなく、保管状況の不透明なアジアや米国市場のブローカーを経由したとしたら、その動きを追跡できる。


 ウォーケンワインに新たに参加するのは、シャンパーニュではジャック・セロス、ギョーム・セロス、ベレッシュ・エ・フィス、ピエール・ペテルス、アヴィーズのラ・ロジェリー(La Rogerie)。ペテルスは「L’etonnant Monsieur Victor」をプラットフォームで独占的に販売する。


 ブルゴーニュからは、ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール、シャトー・ドゥ・ラ・トゥール、ドメーヌ・イヴォン・クレルジェ、ジェノ・ブーランジェール、ローヌからはステファン・オジェが加わる。


 NFTは徐々に市場に入り込んでいる。ドン・ペリニヨンは昨年10月、レディ・ガガのデザインしたボトルを仮想空間で販売した。


 DRCやルロワに代表されるトップドメーヌは、信頼できる国内のワイン商、カビスト、レストランなどとの直接取り引きから始めて、海外市場に広げてきたが、デジタル販売は拒否し続けてきた。


 RFIDタグの装着、ネット販売や投機的な転売を禁止する誓約、空き瓶の回収などで、グレーマーケットへの流入や偽造ワインの防止に努めてきたが、それにも限界がある。デジタルツール慣れした若い世代の登場によって、取り引きの形態も変わる可能性がある。

「真正性の保証は生産者の責任」と語るルイ・ミッシェル・リジェ・ベレール

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