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人生はサンジョヴェーゼ ピアン・デル・チャンポロ1996

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 ライフ・イズ・サンジョヴェーゼ。そんな気分になることが、1年に1度はある。カリフォルニアの帰国直後に飲んだワインがひきがねとなった。

 1年前、トスカーナを代表するアンティノーリがフィレンツェ郊外に開いた生産拠点兼ワインパークを訪ねた時のこと。長女のアルビエラ・アンティノーリに「次代に引き継ぐものは?」と訪ねた。答えは「サンジョヴェーゼ」だった。

 アンティノーリは、ソライアやティニャネロなど外来品種を生かしたスーパータスカンのパイオニアと見なされているが、やはりトスカーナ人にはサンジョヴェーゼの血が流れている。そう実感した。

 なぜ、ライフ・イズ・サンジョヴェーゼという言葉がついて出たか?2週間前、ナパヴァレーのシルヴァー・オークでカベルネ・ソーヴィニヨンをしこたま飲んだからだ。ご存知の通り、ここの売り文句は「ライフ・イズ・カベルネ」。それにしても、ハーラン・エステートやボンドを続けざまに飲むのは体力がいった。

 ハーランのように、凝縮された果実や色合いはないが、感動させられたのが、トスカーナのラッダ・イン・キアンティに本拠を置くモンテヴェルティーネのピアン・デル・チャンポロ。その1996年が素晴らしかった。しみじみとうまみとエキスが口の中に広がる。梅シソ的な酸と土臭さ。サンジョヴェーゼのプリューレ・ロックと呼びたくなった。ピノ・ノワールとサンジョヴェーゼはよく似ている。

 キアンティ・クラッシコに白ブドウをブレンドするのに反抗して、サンジョヴェーゼ100%のヴィノ・ダ・ターヴォラ「レ・ペルゴーレ・トルテ」を世に問うたセルジオ・マネッティ。反逆児の信念は、最もベーシックなピアン・デル・チャンポロにも受け継がれている。

 サンジョヴェーゼとカナイオーロが80%、20%。アルコール度は12・5%。色も淡いが、うまみの塊だ。モンテヴェルティーネとは風の丘の意味。畑に立って、強い風が吹き付けていたのを思い出した。醸造設備は昔ながらのもの。それでも、モダンなキアンティを寄せ付けない透明なエレガンス。冷涼なテロワールと、エノロゴのジュリオ・ガンベッリの魔法の舌のおかげだろう。

 モンテヴェルティーネのワインで飲み頃に達していたのは初めてだ。20年近くたったピアン・デル・チャンポロがようやく開きかけなのだ。ほかのキュヴェが長期熟成なのは無理もない。フィレンツェのショップでは、古いペルゴーレ・トルテが結構な値段で売っている。それも無理はない。このおいしさなのだから。セルジオが亡くなる2000年前のここのワインはすべて買いだ。

モンテヴェルティーネ ピアン・デル・チャンポロ 1996
米西海岸で30ドルで購入
週に一度は飲みたい度 92点

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