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ムートン・ロスチャイルド2013お披露目、アーティストラベルの制作過程を聞く

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 ボルドー1級のシャトー・ムートン・ロスチャイルド2013年のアーティストラベルを描いた韓国人画家・彫刻家のリ・ウーファン氏と、ラベルを選定したジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスチャイルド氏が25日、来日し、ラベルとワインを東京でお披露目した。


 ラベルの原画とアーティストを、ロスチャイルド家の人間がワインと共に紹介するのは初めて。ウーファン氏は1956年から東京をベースに、世界各国で創作している。多くの友人がアーティストラベルを手掛けており、内心うらやましいと思ったと明かす。描いたラベルは、中央に紫色で鮮やかに線描が描かれ、ワイナリーで徐々に偉大なワインになる神秘性を表現した。


 「一見すると何だろうと思うが、微妙な色彩のグラディエーションがワインの複雑なイメージやニュアンスを表現している。描いたものと、描いていない周辺の空白部分がリンクして生まれる、イメージの広がりとバイブレーションを感じて欲しい。ワインは毎日飲む。イタリアには物語があり、スペインはドラマチック。フランスは知的で静か。ムートンに合わせてラベルを描いたわけではないが、ムートンには重厚で、華やかで、香り高いイメージがある」
 2013ヴィンテージのラベルは、2015年の早い時期に依頼を受けたが、しばらく手をつける余裕がなかった。ジュリアンと父のジャン・ピエール・ド・ボーマルシェ氏が9月ごろにパリの工房を訪れてから、約1か月で完成させて、2015年10月に発表された。当初はオレンジ色を基調にしていたが、ムートンのイメージに合わず、最終的に紫色に変えたという。謝礼は2013ヴィンテージ数ケースと、シャトー側が選んだほかのヴィンテージ。


 ジュリアンは、2014年に亡くなった母フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人の3人兄弟の末っ子。3人でムートンなど格付けシャトーの持ち株会社バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社を所有する。53歳の長女カミーユは最も母親似で、7人の子どもがいて、慈善活動に精を出す家族的な性格。51歳の長男フィリップ・セレイスはハーバード大でMBAを取得した慎重なビジネスマン。45歳のジュリアンは繊細で芸術的な性格で、母の後を継いで、アーティストラベルを担当する。2009年から画商としての活動をしながら、ド・ロスチャイルド一族のワイン事業に本格参入した。
 ジュリアンは「ラベルのデザインを頼むのは半年前のこともあれば、数か月前のこともある。条件は偉大なアーティストであることと、我々が好むアーティストであること。リはワインが好きという点が個性的だった。昨年10月には、技術責任者のフィリップ・ダルーアンと共に2015年のブレンドにトライしたほどだ」と語る。


 ムートン・ロスチャイルド2013は軽快で、甘草、ローズペタル、コーヒー。心地よい酸があり、継ぎ目のないタンニン。早くから楽しめる、レストラン向けのヴィンテージだ。カベルネ・ソーヴィニヨン89%、メルロ7%、カベルネ・フラン4%。全体の45%がグランヴァンになった。1級シャトーが苦労した中で、無理に抽出を強くせず、バランスのとれたチャーミングな味わいに仕上げた。


 ムートン・ロスチャイルド2003は鉛筆の芯、丁字、湿った土、タバコ。量の多いタンニンはずいぶん和らぎ、複雑な熟成香に発展してきた。ムートンらしい男性的な力強さが一貫してある。深みは2005や2010が上回るとはいえ、猛暑の2003にしてはフレッシュ感が保たれている。数年前は凝縮して、硬かったが、飲みごろに入っている。

2016年1月25日 東京・大手町のパレスホテル東京「クラウン」で
シャトー・ムートン・ロスチャイルド 2013
92点
希望小売価格: 5万5000円
シャトー・ムートン・ロスチャイルド 2003
93点
希望小売価格: 9万9000円
輸入元:エノテカ

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