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白も赤も名手、進化するオリヴィエ・バーンスタイン

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 白と赤を上手に造れる生産者は少ない。ジャスパー・モリスMWと話していたら、数少ない例外が彼の友人ドミニク・ラフォンだという。異論はない。ジャスパーが世に出した2人も両方をうまくこなす。バンジャマン・ルルーとオリヴィエ・バーンスタインだ。残念なことに、バーンスタインの白は、2011を最後に生産を止めた。


 2011の3つのキュヴェを試飲した。「ムルソー プルミエクリュ・レ・シャルム」は、まろやかで豊満、親しみやすい。白桃、ヘーゼルナッツ、石のようなミネラルに縁どられ、テクスチャーはクリーミィ。「ピュリニー・モンラッシェ プルミエクリュ・シャンガン」は標高の高さから来る冷涼感の中に、よく熟した果実がある。メロン、カスタードクリーム、背骨がしっかりとある。圧巻は「コルトン・シャルルマーニュ」だった。ジャコウ、アプリコット、ハチミツの香り、集中力が並みはずれていて、かめるような果実。水晶を砕いたようなミネラル感は、リキッド・ストーンと呼びたくなるほどキラキラと輝いている。


 新樽はプルミエクリュが50%、グランクリュは100%。「2012以降は、ヒョウ害もあって、1樽しか果汁を買えないので、商品化を止めた。2011のように3樽程度の量があれば、造ってみたい」。赤は栽培をすべて自分の手で行っているが、白は果汁を買うだけ。それでも、エルバージュの巧みさで完成度が高い。
 赤の2009と2010のバックヴィンテージをいくつか試飲した。本人も認めるように、2014が最高のヴィンテージに間違いないが、2007年に瓶詰めを始めたオリヴィエの才能は既に開花している。


 「ジュブレ・シャンベルタン プルミエクリュ・レ・シャンポー 2010」は、ダークフルーツ、スモーク、鉄サビの香りがあり、クリーミィで継ぎ目がない。しっかりした骨組みとグリップ。中間の厚みがあり、太くて長い余韻。「ジュブレ・シャンベルタン プルミエクリュ・レ・シャンポー 2009」は、シルキーなタンニンと2010より凝縮した果実。太陽の年らしいブラックベリー、ブラウンシュガー、コーヒー。ジュブレ・シャンベルタンらしい線の太さと筋肉質の構造がある。「ジュブレ・シャンベルタン プルミエクリュ・レ・カズティエ 2009」は、やや熟成が進んでいて、なめし革、森の下草、あぶった肉。しっかりした酸を、力強い果実が包みこんでいる。
 全房発酵はほぼ50%。テラスの畑にあるシャンポーのリッチさと、急斜面にあるカズティエのミネラル感という対比がよく出ている。自社畑の「マジ・シャンペルタン」は自慢のキュヴェだ。2013はスミレ、砕いたイチゴに砂糖がけした精妙な香り、シルキーな質感、デリケートで持続性がある。グランクリュであるという以上に、細部の詰めが正確さを増している。余分なものをそぎ落として、透明感が増した。それを改めて実感した。
 「バカンスの時期も働いている。妥協はしない」というオリヴィエの完ぺき主義は誇張ではない。

2016年1月12日 東京・千代田区で
オリヴィエ・バーンスタイン ムルソー プルミエクリュ・レ・シャルム 2011
91点
参考小売価格:2万1600円
オリヴィエ・バーンスタイン ピュリニー・モンラッシェ プルミエクリュ・シャンガン 2011
92点
参考小売価格:2万1600円
オリヴィエ・バーンスタイン コルトン・シャルルマーニュ 2011
94点
参考小売価格:2万9920円
オリヴィエ・バーンスタイン ジュブレ・シャンベルタン プルミエクリュ・レ・シャンポー 2010
93点
参考小売価格:2万1600円
オリヴィエ・バーンスタイン ジュブレ・シャンベルタン プルミエクリュ・レ・シャンポー 2009
92点
オリヴィエ・バーンスタイン ジュブレ・シャンベルタン プルミエクリュ・レ・カズティエ 2009
93点
オリヴィエ・バーンスタイン マジ・シャンベルタン 2013
95点
輸入元:BB&R

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