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ドローン活用して栽培、パプ・クレマンの正確さとち密さ

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 ボルドーのペサック・レオニャンの注目株シャトー・パプ・クレマンの開発部長オーギュスティン・デシャンプ氏が来日して、テクノロジーを駆使して進化するワイン造りについて語った。


 パプ・クレマンはボルドーで最も古いシャトーと畑を有する。評論家ロバート・パーカー氏が2011年に発表した1級に次ぐ品質の「マジカル20」の1つ。2010赤と2009白がパーカーポイント100点を獲得している。所有者はベルナール・マグレ氏。マグレ氏は蒸留酒やポートワインの事業で成功し、格付けシャトーを買収した。4級のラ・トゥール・カルネ、サンテミリオン・グランクリュ・クラッセのフォンブロージュ、ソーテルヌ1級のクロ・オー・ペラゲも所有する。ボルドー市内で、ジョエル・ロブション氏と組んだレストラン「ラ・グラン・メゾン」もオープンした。その動きに世界の注目が集まる大物だ。

 パプ・クレマンのブラン2013とルージュ2008を試飲した。ブラン2013はエキゾチックな白桃のコンフィ、アプリコットのエキゾチックな果実の香りが爆発的に立ち上がる。凝縮されていて、トロリとした口当たりだが、中心にはチョーキーなミネラル感とフレッシュな酸。巨大なスケールの、長い余韻を持つ長期熟成型白ワインだ。近所のオー・ブリオンよりミネラル側に寄っている。ボルドーの白ワイン最高峰の一つだろう。ソーヴィニヨン・ブラン46%、セミヨン48%、ソーヴィニヨン・グリ5%、ミュスカデル1%。
 「50年前に始めた時は2樽しかなかったが、1980年代から白ワインを増やし始めた。それでも1万本。市街地に近く、温暖なので、南部のドメーヌ・ド・シュヴァリエなどよりリッチになる。砂利主体の土壌に石灰岩が混じっていて、それがフレッシュ感を与えている」
 ルージュ2008は平均的なヴィンテージとは思えない成功作。ブラックチェリー、コーヒー、スモーク。ピュアな果実は素晴らしく凝縮されているが、荒々しさはなく、メルロのなめらかさに包みこまれている。今もおいしく飲めるが、素晴らしく長持ちするだろう。カベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロ45%、残りはカベルネ・フランとプティ・ヴェルド。ヘクタール当たり収量は28ヘクトリットル。15%は卵型コンクリートタンクで熟成される。
 シャトーは120人での選果、テラコッタでの熟成、マイクロオキシジネーションの導入など、ち密な醸造でも知られるが、細やかな畑仕事に注力している。正確な栽培を支えるのがドローンを使った畑のデータ取得だ。空港が近いため、ドローンの高度は200メートル以下に制限されているが、上空からGPS技術とカメラを使って畑のデータを区画別にとる。病気や水分ストレス、ブドウの熟度、光合成の進み方、土壌の固さなどのデータを地上に飛ばし、パソコンのプログラムが解析する。環境にも配慮し、ソーラーバッテリーで駆動する。
 「地上で人間が見るより、正確に区画ごとの状況がわかる。水はけをよくするための排水管を土中に設置したり、どこまでトラクターの耕作が必要か、グリーン・ハーヴェストの時期などの判断もできる。2014のような天候が不安定なヴィンテージは、このデータが区画別の収穫時期の決定に役立った。精密な畑仕事が品質につながっている」


 ドローンはフォンブラージュ、ラ・トゥール・カルネ、オー・ペラゲでも使用する。同時に試飲したフォンブラージュ2010は深みがあり、心地よい酸がある。クロ・オー・ペラゲ2011はドライ・アプリコット、クレーム・ブリュレなど華やかな香りと凝縮した味わいだった。
 
2015年11月10日 東京・赤坂で

シャトー・パプ・クレマン・ブラン 2013
94点
シャトー・パプ・クレマン・ルージュ 2008
92点
シャトー・フォンブロージュ 2010
90点
シャトー・クロ・オー・ペラゲ 2011
90点

輸入元:ベリー・ブラザーズ&ラッド

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