世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. マルゴーのエレガンス、ジスクールとデュ・テルトルのアレクサンドル・ヴァン・ピーク来日

マルゴーのエレガンス、ジスクールとデュ・テルトルのアレクサンドル・ヴァン・ピーク来日

  • FREE
 ボルドー・マルゴーの格付け3級ジスクールと5級デュ・テルトルの2つのシャトーの総支配人を務めるアレクサンドル・ヴァン・ピーク氏が来日し、2014の樽サンプルと古いヴィンテージを試飲しながら、ワイン造りについて語った。

 ジスクールは1995年、デュ・テルトルは1998年、オランダ人実業家エリック・アルバダ・イェルヘルスマ氏が購入した。ビーク氏が参画し、後に支配人に昇格した。広大なマルゴー・アペラシオンは21と最も格付けシャトーが多いが、怠惰な眠れるシャトーが多かった。「情熱のないオーナーが投資を惜しみ、恵まれた畑の力を発揮できないシャトーが多かった。近年は変わってきた」とビーク氏。両シャトーは設備投資や植え替えによって、劇的に品質が向上した。
 「ジスクールはジロンド川に近く、水はけがいい。シルキーでソフトなタンニンと、しっかりした骨組みを備えるエレガントな性格。デュ・テルトルは内陸の最も標高が高い台地の畑。おおらかでセクシー。若いころは控え目なジスクールと違って、最初から外交的」
 ジスクールは栽培面積60%のカベルネ・ソーヴィニヨンと32%のメルロが主体で、伝統的にカベルネの性格がよく表れる。デュ・テルトルはカベルネ・ソーヴィニヨン43%、メルロ33%に19%のカベルネ・フランと5%のプティ・ヴェルド。ボルドー左岸で最もカベルネ・フランの多い格付けシャトーだ。
 「メルロは早く熟し、高温に弱い。温暖化に伴って、カベルネ・フランが見直されている。メルロは四角張っていて、厚ぼったい。カベルネ・フランはピュアで、フレッシュで、よく熟すようになった」


 ジスクール、デュ・テルトル、ロゼ・ド・ジスクールの2014樽サンプルを試飲した。シャトーの個性の違いが浮き彫りになった。ジスクールはストーニーなミネラル感。ミンティで、甘草、タバコの香り。ジューシーでフレッシュ。デュ・テルトルは穏やかでまろやか。濃厚だが、重さはなく、広がりがある。ロゼ・ド・ジスクールは赤みの深いピンク。レッドチェリー、ザクロのジャム、スパイシーな辛口。骨組みと果実の充実感とともに、フレッシュな酸があり、余韻は長い。セニエではなくダイレクト・プレス(直接圧搾)で造る
 「2014はバランスがよく、エレクトリックな、動きのあるヴィンテージ。タイトなジスクールとおおらかなデュ・テルトルの違いがよく表れている。ロゼ・ド・ジスクールはボルドーでは珍しいダイレクト・プレスのロゼ。特別な数区画から早めに摘む。赤ワインの香りとフレッシュ感を両立させている」
 熟成したヴィンテージはジスクールが2000と2005、デュ・テルトルが2000と1988を試飲。ジスクール2000は鉛筆の芯、腐葉土の香りがあり、熟成の入り口にさしかかったところ。中程度の凝縮感ときれいな酸があり、優雅に熟成するだろう。2005はタンニンと果実の密度がワンランク上。スケールが大きく、余韻も長い。色調からして黒みが強く、安定性ではピカ一のヴィンテージらしい。デュ・テルトル2000はジスクールより進んでいて、黒いキノコ、スモークの、酸のきれいさが目立つエレガントなヴィンテージ。1988はエッジにオレンジがさし、葉巻、黒糖、湿り気の多い腐葉土の香り。マルゴーらしいフィネス。酸が弱くなっており今が飲み頃。
 「ジスクールの2000はメルロが40%と多く、早くから楽しめる。2005はカベルネ・ソーヴィニヨンが75%も占め、骨組みがしっかりしていて複雑。2005の暑い夏を思い出させる。デュ・テルトルの2000はフレッシュさがあり、1988はクラシカルなヴィンテージ」
 ビーク氏の妻はシャトー・オーバイイ支配人のヴェロニク・サンデルスさん。夫婦で別々に秀逸なワインを造っている。控え目なサンダースさんに比べると、ビーク氏はよく語り、意思の強さを感じさせる。卵型コンクリートタンクの導入、1区画に対して3つの発酵槽で対応するなど、ちみつな醸造を進めている。

2015年11月18日 コンラッド東京のフレンチ「コラージュ」で

シャトー・ジスクール 2014
88~90点
シャトー・デュ・テルトル 2014
88~90点
シャトー・ジスクール ロゼ・ド・ジスクール 2014
86~88点
シャトー・ジスクール 2000
90点
シャトー・ジスクール 2005
92点
シャトー・デュ・テルトル 2000
90点
シャトー・デュ・テルトル 1988
88点

輸入元:ベリー・ブラザーズ&ラッド

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP