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ヴーヴ・クリコ、熟成1962年をロブションの皿と

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 シャンパーニュのヴーヴ・クリコの醸造責任者ドミニク・ドゥマルヴィルが来日し、最新ヴィンテージ2004年から1962年まで、メゾンの実力を見せ付けるランチを開いた。

 ドゥマルヴィルは5年前に、ジャック・ペテルスから地位を引き継ぎ、いくつかの改革をしながら、大規模メゾンに珍しい高品質を保っている。その一つが、2008年から始めた樽の導入。リザーヴワインをフードル(大樽)で発酵・熟成し始めた。ブルゴーニュで修行した経験を生かしている。

 「樽を使うのは全体の1・5%程度の割合。料理に使うスパイスのような役割だ。力強さ、複雑性を与え、ヴァニラやブリオッシュのタッチを付加する。ジャック・ペテルスは最初、反対したが、最近は樽の影響が突出していないことを認めてくれた。樽を使うのは香りのためではなく、微妙な酸化をもたらすため」

 イエロー・ラベルとローズ・ラベルは相変わらずの安定感。背景には豊富なリザーヴ・ワインの存在がある。同じLVMHグループ傘下のクリュッグ並みにリザーヴを重視している。

 「現行のイエロー・ラベルは、ベースワインが2010年。35%のリザーヴワインが含まれる。09、08、07、06年に04年と90、95年も含まれる。17ヴィンテージを澱の上で熟成している。最も古いものは88年だ」

 新ヴィンテージの2004年は1年前から市場に出ている。02年に比べると軽快でデリカシーのある味わい。後半から果実が持ち上がる。ドゥマルヴィルは熟成力があるヴィンテージと見ている。軽めの性格なので、リットルあたりのドザージュは、02年の9グラムより少ない7グラムに抑えて、ミネラル感を表現している。次なるヴィンテージは2008年となる。

 古いヴィンテージの1988年と1962年を、ドゥマルヴィル所有のマグナム瓶で味わった。88年は酸の年。まだ10年は熟成しそうなフレッシュさがある。クリュッグが88年を89年より後に発売したことを思い出した。62年もきれいな酸のある年。色合いも若々しい。モカ、白トリュフがゴージャスに香り、舌の上できめ細かな泡がつぶやいている。メゾンの真価を再認識した。
 「88年は90、93年よりはるかに熟成力がある。62年も酸に支えられている。ドライフルーツやナッツの香り。2007年のデゴルジュマンでドザージュは4グラム。小樽発酵からステンレスに移行する興味深い時期だ」

 04、88、62年と右から並べたが、62年の色調の明るさは、さらなる熟成を予感させた。

 ヴーヴ・クリコは来年からヴィンテージのデゴルジュマンの時期を裏ラベルのQRコードで知らせる予定だが、ノンヴィンテージついては未定。「消費者の混乱を招きたくないので、QRコードや新しい技術を検討している」という。

 現在でもコルクの側面のコードを読むとわかる。コードは5文字からなる。「A124B」とあれば、Aは6業者いるコルクのサプライヤーを示す。「12」とあればデゴルジュマンは2012年。「4」は1年間を6つの時期にわけているうちのひとつ。「4」とあると7、8月を示す。「B」はロットナンバー。

 ランチは東京・恵比寿の「シャトー・レストラン ジョエル・ロブション」で行われた。アラン・ヴェルゼロリ料理長が自ら腕をふるった料理は、正確で、季節感にあふれ、香りをあわせたカラフルな皿の連続。美しいマリアージュだった。

 ヴーヴ・クリコはジョエル・ロブションが世界に展開する17レストランの公式シャンパーニュとして、バイ・ザ・グラスで使われている。

 アミューズは栗かぼちゃをエスプーマにしてローズマリーのジュレと共に。

 前菜はタスマニアサーモンを花穂シソと共にタルタルに。ローズラベルによくあった。

 魚は真鯛をアーモンドパウダーをまとわせてローストし、レモンの香るブリオッシュのムースリーヌとケイパーのクーリ。

 肉はハーブ豚を軽くスモークしてグリエ、栗や舞茸のフリット共に。

 デザートはマロンパルフェとクーリーカシスをスープに浸し、カフェのメレンゲをのせて。

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