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寿司屋でブルゴーニュのトッププロをもてなすワインは?

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 悩みに悩んだ。どんなワインを持っていけばいいのか。お相手は、日本にブルゴーニュ最良の造り手を広めたエージェントの坂口功一さん。東京の寿司屋で大橋健一MWとともに、お話しを聞く機会を得た。ブルゴーニュ以外の白ワインでしばるという条件を決めた。シャルドネの最高峰ルフレーヴやラヴノーはもちろん、サロンまで紹介してきたプロ中のプロである。下手なものは用意できない。結局、ほとんど経験がないであろうカリフォルニアのカルト・シャルドネにした。コングスガードのザ・ジャッジ2007。きれいに進化しているだろうか。
 大橋MWが持参したのは、サディ・ファミリーのパラディウス2014と、坂口さんが扱うピエール・イヴ・コラン・モレのムルソー・レ・ナルヴォー2012。お店はアメリカで働いた経験もある大将の握る東京・渋谷の寿司「秋月」。お造りも、焼き物も、握りもワインとの相性がよかった。
 「サディ・ファミリー パラディウス 2014」は南アフリカ白の最高峰の一つ。キンカン、カキ殻、蜜ろう、芳醇な果実味が爆発し、アルコール度は高いが、ピュアな酸に支えられて、バランスがとれている。酸化的なスタイルで、複雑性があるが、きっちりと焦点があっている。塩みとほろ苦みを伴う長いフィニッシュ。シュナン・ブランを主体に、グルナッシュ・ブラン、クレレット・ブランシュ、ヴィオニエ、ヴェルデホ、ルーサンヌ、セミヨン・グリ、セミヨン・ブラン、パロミノのフィールドブレンド。94点。
 アルコール度は14.5%と高めだが、海に近い畑からのこのワインは、ミネラル感に縁どられ、坂口さんも「地球の裏側でこんなワインが造られているとは」と驚いた様子だった。
 「ピエール・イヴ・コラン・モレ ムルソー・レ・ナルヴォー 2012」はマルク・モレの長男ピエール・イヴが、ジャン・マルク・モレの娘と結婚して興したドメーヌのワイン。抑制された柑橘、黄桃などの香りに2012年らしい豊かな酸があり、塩っぽささえ感じるミネラル感、リニアなフィニッシュ。シャサーニュ・モンラッシェにモダンなドメーヌを構えるこの造り手は私も大橋MWもお気に入り。多くの白の名手を発掘してきた坂口さんも「将来のブルゴーニュを背負って立つ1人」と。90点。
 最後は「コングスガード シャルドネ ザ・ジャッジ 2007」。ジョン・コングスガードが造るシャルドネのバレル・セレクション。ロバート・パーカーがオベール、マーカッサンと並んで高得点をつけるカルト・シャルドネの1つ。レモンカスタード、トロピカルフルーツ、ハチミツ、リッチな果実味と石のようなミネラル感が絡まり合って、深みと豊潤さがあり、酸がフィニッシュを引き締めている。果実が失われてオイリーなだけの液体になっていたらと恐れたが、フレッシュ感を残していて、脂ののった上品な焼き魚とは合った。一安心であった。95点。
 30年以上、ブルゴーニュのセラーを駆けずり回ってきた坂口さんは歩くブルゴーニュ百科事典の趣。発見や驚きにあふれ、時間が過ぎるのが惜しい一夜だった。

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