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世界のワイントレードの中心、ジャンシス・ロビンソンの自宅でシラー

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 世界で最も尊敬されるワインジャーナリスト、ジャンシス・ロビンソンMWのロンドンの自宅を19日、大橋健一MWとともに訪れて、会食する機会に恵まれた。
 2人は2月にニュージーランド・ウェリントンで行われた「ピノ・ノワール ニュージーランド 2017」で、偉大なピノ・ノワールを探るパネル・ディスカッションのパネリストを務めたが、その日に新居の購入が決まり、「今度ロンドンに来た時に招待するわ」という約束が交わされていた。このイベントは私も取材したが、テーブルを並べてジャンシスと試飲する機会もあり、その時以来の再会となった。大橋MWは「ワールド・アトラス・オブ・ワイン」の日本編も執筆し、ジャンシスと日本酒や日本ワインの情報を交換する間柄でもある。
 キングズ・クロス駅近くの高層マンションの最上階からは、ロンドンを一望できた。彼女は取材ノートや著書をカリフォルニア大デイヴィス校に寄付したが、壁一面が蔵書で埋め尽くされていた。ゴールドに輝くスニーカーを履いたジャンシスはいつも通りエレガント。私はワインコンペティション「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」(IWC)の審査員として渡英したのだが、19日夜のヒースロー空港は入国に1時間半もかかり、マンションに着いたのは10時すぎだった。ワインレポートのテイスター大越基裕氏ら先遣隊はすでに盛り上がっていた。
 料理評論家のニック・ランダーが造った溶けるようなローストビーフをいただき、2つの熟成したシラーを飲んだ。「ギガル コート・ロティ コート・ブリュンヌ・エ・ブロンド 1991」はヴェルヴェッティで、ジューシー、継ぎ目がなく、森の下草の香り。コート・ロティらしい明るい果実がある。91点。「シャプティ エルミタージュ モニエ・ド・ラ・シゼランヌ 1990」はスパイシーで、腐葉土、中華系の香辛料、ミネラル感が心地よいエルミタージュらしいワインだった。92点。いずれも優良なヴィンテージ。若いころに飲んだことがあるが、熟成によって、アペラシオンの違いが明確になった。私の好みはコート・ロティとエルミタージュの間をいつも行き来するが、この夜のお気に入りはエルミタージュ。料理をひきたてるワインだった。
 ジャンシスとは4月に訪れたボルドー・プリムールの話をした。彼女は既に「パープル・ページ」に評価を発表しているが、単純に左岸と右岸のどちらが優れるかとは言えないという点で一致した。モンブスケ、ラフルール、シュヴァル・ブランなど右岸で白ワインを造る動きがある点を問いかけると、「白ワインの好きな私としては興味深い」と話していた。
 この夜は、ワールド・アトラスなどジャンシスの主要な著書を編集する右腕ジュリア・ハーディングMWと、ベリー・ブラザーズ&ラッドのセールス・ディレクター、サイモン・ステイプルズも招待されていた。ジュリアとは2013年に行われた「カリフォルニア・ワインサミット」で一緒にカリフォルニアをツアーして以来の再会。「世界で最も高級ワインを売る男」と言われるサイモンは昨年まで、東京に駐在していたが、ジャンシスとは旧知の仲。サイモン、ジャンシス&ニック夫妻、大橋MWの5人で、東京・赤坂の寿司屋で会食したのは1年前の話。時間のたつのは速い。
 サイモンは相変わらず、冗談を連発し、ジュリアは知的なたたずまいを崩さない。ロンドンは世界のワイントレードの中心と言われるが、その中心にいる実感をかみしめた。
 MWに首席で合格した才媛ジュリアは世界地図の「ワールド・アトラス・オブ・ワイン」やブドウ品種解説の「ワイン・グレープス」を電子ブックでダウンロードして、旅先で参照していると聞いた。私はいつも該当するページをコピーして、産地に持参するのだが、これからはその方が楽だと思った。ワールド・アトラス・オブ・ワインのダウンロードはこちhttps://www.worldatlasofwine.com/ ワイン・グレープスのダウンロードはこちhttps://itunes.apple.com/gb/book/wine-grapes/id582875915?mt=11
いつもエレガントなジャンシス・ロビンソンMWと。パープルのセーターで
左から、大橋健一MW、ジュリア・ハーディングMW、サイモン・ステイプルズ
御主人のニック・ランダー自ら腕を振るう

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