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サンジョヴェーゼ命、フォントディのキアンティ

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 ピノ・ノワールがなくても、日々の暮らしは困らない。特別な機会に目的を持って飲むワインだから。サンジョヴェーゼが手元にないと、パニックになる。

 パスタ、ピッツァ、サラミに焼肉……オリーブオイルとイタリアンの大好きな私に、欠かせない赤ワインだから。1か月も切らすと禁断症状が出る。前世はイタリア人だったかもしれない。小洒落たイタリアン・レストランは好きではないけれど。

 サンジョヴェーゼの造り手で最も好きなのはどこか?ときかれれば、モンテヴェルティーネだろう。シャンボル・ミュジニー的なフィネスとエレガンスは比べるものがない。その一方で、気取らないフォントディも大好きだ。こちらはジュブレ・シャンベルタン的と言える。

 バリックを使ったモダンな造りだが、洗練されすぎているわけではない。ブルースに志したエリック・クラプトンは「洗練されるのはまっぴら」という名言をはきながら、どんどん角がとれた。フォントディは洗練されながらも、サンジョヴェーゼの野性味を残している。

 オレンジの皮やブラックチェリーのコンフィの香り。一瞬、ドメーヌ・ルロワを思い出した。甘みと酸味のバランスが絶妙。タンニンはしなやかで、きれいに溶け込んでいる。たっぷりとしていて、温かみがある。1990年代後半は、ここのキアンティ・クラッシコやフラッチャネッロばかり飲んでいたのを思い出した。

 パンツァーノ・イン・キアンティのコンカ・ドーロという美しい峡谷に畑が広がる。2000年から有機栽培に取り組み、自然酵母も導入した。サンジョヴェーゼを専門とするエノロゴ、フランコ・ベルナベイも自然酵母に反対したが、ジョヴァンニ・マネッティは譲らなかったそうだ。

 マネッティはサンジョヴェスタだ。昨年、アンティノリの新ワイナリー竣工式で再開した。

 「大規模な施設ができて、トスカーナが注目されるのはいいことだ。我々の誇りはサンジョヴェーゼ。ほかの土地ではうまくいかない。トスカーナでしか成功しない品種なんだ」

 ハンサムなマネッティはマイルドだが、芯を秘めた男だ。彼の造るワインのように。

(2013年10月 自宅で)
フォントディ キアンティ・クラッシコ 2008
輸入元:ミレジム
希望小売価格:3500円
週に一度は飲みたい度:92点

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