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日本ワインの格付け、第二弾は雨の多い九州

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 日本ワインの格付けに向けた県別評価の第二弾は、九州地方を取り上げる。九州は台風の通り道になっていて、降雨量が多い。鹿児島と宮崎の年間降水量は、高知に次いで、国内で最も多い部類に入る。にもかかわらず、熱心なワイナリーの努力によって、水準以上のワインが生まれている。
 主要なワイナリーにサンプルの提供をお願いし、代表的なワインを送ってもらった。2月に、山本昭彦、大橋健一MW、大越基裕の3人で、オープンで試飲した。試飲したのは「巨峰ワイン」(福岡・久留米)、「安心院葡萄酒工房」(大分・宇佐市)、「五ヶ瀬ワイナリー」(宮崎・西臼杵郡)、「熊本ワイン」(熊本市北区)、「都農ワイン」(宮崎・児湯郡)の5ワイナリー。計24銘柄を試飲した。12本が優良(85-89点)に選ばれた、平均点が85点以上のワインのみ掲載する。
 詳しいコメントはこちhttps://www.winereport.jp/archive/831/

【巨峰ワイン】
福岡・久留米から大分・日田に伸びる耳納連山の果樹産地で、名産の巨峰を素材に1972年に設立された。白ワイン「巨峰葡萄酒ドライ」、赤ワイン「巨峰葡萄酒ルージュ」のほか、ブルーベリー、いちごのあまおう、甘夏、キウイなどからもフルーツワインを造っている。敷地内では醸造所のほか、レストラン、売店も展開する。http://www.kyoho-winery.com/

【安心院葡萄酒工房】
焼酎「いいちこ」で知られる宇佐市の三和酒類が2001年、霧のよくでる安心院町に設立した。シャルドネで注目され、アルバリーニョ、小公子、甲州など、自社畑のブドウからのワインを次々と生産している。メルロ、マスカット・ベーリーAにも挑戦。瓶内二次発酵方式のシャルドネ・スパークリングは定評がある。http://www.ajimu-winery.co.jp/

【五ヶ瀬ワイナリー】
九州のほぼ中央の宮崎・児湯郡五ヶ瀬町の標高600メートルの山あいにある。町が100%出資し、ブドウはすべて五ヶ瀬町産。ワイナリーは2005年に完成。白ワインのナイアガラ、デラウエア、ブラックオリンピア、シャルドネ、キャンベルアーリーのロゼ、メルロ主体の赤「夕陽」などを手掛ける。http://gokase-winery.com/

【熊本ワイン】
1999年に設立された。フラッグシップの「菊鹿シャルドネ」の畑は、熊本市のワイナリーから30キロ北に位置する。地区名の「小伏野」と「五郎丸」のほか、「樽熟成」とタンク発酵の限定発売「せせらぎ」がある。「マスカット・ベーリーA樽熟成」やロゼの「巨峰グリ」も。http://www.kumamotowine.co.jp/

【都農ワイン】
1996年に第三セクターとして始まり、その後、株式会社に変更された。日向灘に面した都農町は台風が多く、年間降雨量は4000ミリを超すが、優れたシャルドネ、自社畑のフレッシュなキャンベルアーリーA、デラウエア、甲州などを手掛ける。ピノ・ノワール、テンプラニーリョにも挑戦している。http://www.tsunowine.com/

山本昭彦
「オーストラリアのハンター・ヴァレーは、雨量の多さに悩まされる中で、低アルコール度のセミヨンを成功させている。台風が多く、金銭的にも厳しい環境で、九州の生産者からは、もっといいものを造ろうという志がうかがえる。一般的な国際品種が成功を収めて、個性的な品種の可能性を探る段階に向かっているように思える。熊本ワインは、醸造や畑の違いを表現するというあるべき方向を目指している。今後も注目すべき産地だ」

大橋健一MW
「九州は雨が多くて、ブドウ栽培には難しい気候だが、全体にレベルが高い。安心院葡萄酒工房、都農ワイン、熊本ワインは、品質の高いシャルドネを造っている。都農のキャンベルアーリーのスパークリングは、オーストラリアのジャーナリスト、デニス・ギャスティンも評価している。シリアスなワインではないが、日本のビュジェ・セルドンだ。熊本ワインは樽が落ち着いてきた。真剣にやろうとしているワイナリーは進化している」

大越基裕
「都農ワインも熊本ワインも、安心院も、現地を訪問して、好印象を持っている。九州地方に多くの人に評価されるワイナリーが出てくると、刺激になり、産地全体の底上げにつながっている。都農では、甘みを残したワインがセラードアで売れているようだ。地元の人に楽しんでもらうのは大切で、それから外の世界に向かっていけばいい。日本ワインはテンションがゆるいものが多いが、そこを詰めると、品質がワンランク上がる。そうした進歩が垣間見られるところも出てきている」

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