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ブドウ栽培の適地は2050年までに最大で3分の2に縮小

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 ブドウ栽培に適した土地は2050年までに、最大で現在の3分の2まで縮小する恐れがあるという深刻な見方を、ハーバード大のジョン・ホルドレン教授が、ボルドーで開会中の「ヴィネクスポ 2017」の討論会の中で示した。
 討論会「ファイア・アンド・レイン:気候変動とワイン産業」は初日の18日に、ワイン・スペクテーターが主催した。ワイン・スペクテーターによると、オバマ政権で大統領の科学技術担当補佐官を務めたホルドレン教授は「ブドウ栽培に適した土地は2050年までに23-75%縮小する可能性がある」という見方を示した。さらに、平均気温の上昇、熱波、干ばつ、集中豪雨、雹、病害、二酸化炭素排出量の増加がブドウの化学に与える影響が、ワイン産業の回復力の試練となっていると指摘。「適応性と回復力が極めて重要だ。二酸化炭素排出量をへらさなければ、両方とも破たんするだろう」と述べた。
 また、200年間にわたる気候変動を科学的に分析した結果、気候変動は疑いなく「化石燃料の燃焼と土地の使用方法の変化がもたらす温室効果ガスによるもの」と述べた。さらに、世界がどんな対策をとろうとも、進行中の気候とエネルギーシステムの変化を逆転させるには時間がかかるため、そうした変化と人類の生活、健康、土地、エコシステム、経済に与える悪影響が近い将来はさらに悪化するとの見方も示した。ただ、強大で迅速な救済措置によって、ネガティブな環境効果の過酷さを大きく減らすとした。
 討論会のパネリストにはスペインのボデガ・トーレス当主のミゲル・トーレスも登壇。収益の11%に当たる1300万ユーロを二酸化炭素を消費する藻類の繁殖や二酸化炭素の植物肥料への転換にあてていることを明らかにした。また、ピエモンテのアンジェロ・ガヤの娘ガイア・ガヤは、ブドウ樹の回復力を高めるため、モノカルチャーのブドウ栽培から、生物的な多様性の方向に向かっていることを明らかにし、「早摘みのメルロから、フレッシュで遅摘みの品種に向かっている」と述べた。
(C)Philippe Labeguerie / Vinexpo

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