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海の滋味と磯の香り、日本人を魅了するシチリア料理

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 地中海に浮かぶ最大の島シチリア。映画「ゴッドファーザー」で知られるようになったイタリア南端の島は実に興味深い。ワイン造りの歴史を振り返ると、コーカサス山脈のふもとで発生したヴィティス・ヴィニフェラはギリシャを通じて、イタリア南部を通過し、古代ローマ帝国の拡大とともに北上した。フランスの南部から北部に広がったワイン造りもこの流れに乗っている。一度は訪ねるべき産地である。
 四国より大きく、九州より小さなこの島の気候は多様である。島というより小さな大陸と考えた方がいい。一部はチュニジアの首都チュニスより南にあり、気候はアフリカに近い。パレルモ空港から、丘陵地帯を超えて南部のアグリジェント県に下る。昼間の暑さは、過去に経験した南部のプーリアやカンパーニャ州よりさらに厳しい。38度にも達する。湿度が高いのでサウナにいるようだ。
 バルクワインの巨大産地であり、北部イタリアのワインの色調や果実を補強するために出荷されてきた。それがかわったのは1990年代。有名ブランドが輸出市場を意識して、国際品種に取り組み、有名になった。一方で、東部のネーロ・ダヴォラ、グリッロ、西部のネレッロ・マスカレーゼ、カリカンテなどの土着品種も再発見され、洗練の度を増している。
 イタリアの常として、地方料理がおいしい。魚貝をよく食べる。マグロを生(カルパッチョ)で食べる習慣があるくらいで、日本人には最もしっくりくる。野菜も豊富だ。アグリジェント県南部にあるシャッカの漁港のレストラン「ポルト・サン・アルテ」で、夜の海風に吹かれながら、港から揚がったシーフードを楽しんだ。ほとんどの料理が10ユーロ前後。驚くほど安い。
新鮮なエビとウニのスパゲッティ。磯の香りがあり、ウニのソースは豊か。スパゲッティはアルデンテというよりバリカタ。15ユーロ。
前菜は小ダコのトマトソース。イイダコより少し大きいタコが噛むほどに味わい深い。完熟トマトのソースが複雑で酸とうまみがある。10ユーロ。
定番の前菜は魚貝のマリネ。手長海老など数種のエビのみそをすする。白ワインのグリッロに合う。12ユーロ。
鯛の塩釜焼き。ほとんど和食に近いが、スパイシーなオリーブオイルで食べる。ホッとする。
代表的なデザート。リコッタをベースにしたカンノーリ(手前)とカッサータ。ドライフルーツや柑橘の砂糖漬け入り。
日が落ちたサン・アルテの港。海の向こうはアフリカ。8時になると20度まで落ち、涼しい風が吹く。

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