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2017年のボジョレー・ヌーヴォーは霜や雹害の影響は受けたが、猛暑で熟度が上がり、不作の2016年とは対照的な収穫量の多さと良好な作柄が期待されている。
コート・ドールの収穫量は平年並みだが、ボージョレは、クリュ・ボージョレを産するフルーリー、ムーラン・ナヴァンなど北部が、5月に遅霜の被害を受け、7月には雹が降った。だが、夏は日照に恵まれ、ヌーヴォーは全体として良好なヴィンテージになると期待されている。
ジャン・フォワイヤール、フレデリック・コサール、フィリップ・パカレら自然派生産者から輸入元に届いた情報をまとめると、2017年は各地で例年より2週間早い6月第1週に開花し、生育サイクルが早い。6月は猛暑が続き、8月末から9月初めの収穫が予想されている。ブドウは2015年をほうふつとさせる素晴らしい状態を保っているという。
フォワイヤールでは、5月19日にコート・ド・ピィ周辺に雹が降ったが、開花前で被害はほとんどなかった。「病気は一切ない。不作の2016年の反動なのか、ブドウの房もたくさんあり、大豊作が期待される。連日35度を超す快晴が続き、2015年のように8月の収穫もありうる」と6月の時点で語った。
コサールは、最も標高が高いマルシャン村の畑も、レーニエに隣接する畑も霜害に合わなかった。「ブドウは2015年をほうふつさせる素晴らしい状態。酸のエレガントなマルシャン村と骨格の豊かなレーニエに隣接するブドウをアッサンブラージュし、例年以上に水準の高いヌーヴォーを造る」と、6月の時点で述べた。
パカレがブドウを購入する畑も雹害は受けていない。「こんなに順調にブドウが成長するのはまれ」と話している。マルセル・ラピエールでも雹や病気の被害はなく、1つの房当たりの実付きがよい。「収穫が早いので、十分に醸造の期間をとれる」と期待している。
ボージョレ・ヌーヴォーの解禁は11月第3週の木曜日だが、空輸で出荷するには、遅くとも10月末までにワインを詰める必要がある。自然派生産者はセミ・マセラシオン・カルボニック法をとり、発酵にある程度の時間をかける。このため、収穫の早い2017年はマセラシオンに時間をかけられ、醸造の自由度が高い。
日本は世界トップのボージョレ・ヌーヴォー輸入国だが、輸入量は減少傾向にあり、ピークの2014年の104万ケースから半減した。暮らしに定着した分、クリュ・ボージョレや自然派生産者のヌーヴォーを求める声が強まっている。パカレやフォワイヤールらのヌーヴォーが日本で手に入る背景には、自然派ワインを広めた大橋健一MWの尽力がある。ワインレポートのテイスターでもある大橋MWは、パカレ、コサール、フォワイヤール、ラピエールらと20年以上の交流があり、ワイン造りとパッケージングを日本向けに独自の仕様にして業界を盛り上げてきた。
その一つが、マセラシオン・カルボニックから生じるバナナを連想させるエステル香を控えめにして果実味たっぷりのスタイルに仕上げること。「彼らが採用する従来からの醸造法で仕上げ、特にエステル香が控えめに仕上がったキュヴェを、私の顧客のために特別に瓶詰めしてほしいとお願いした。特別な醸造法によるものではなく、継承されてきた伝統的なスタイルのヌーヴォー・ワインにこだわってきた」と語る。
また、フランスでは新酒を「ヌーヴォー」ではなく、「vin de primeur」とも称することができる。2003年に、この呼び方を採用するようパカレに進言した。「初物をありがたがる日本の文化で、『ヌーヴォー』は肯定的ではあるが、時期を外すと、楽しみにくい、販売しにくいという印象を与える面があった。そこで、INAOの規定にあった『ヴァン・ド・プリムール』を使うようにパカレに勧めてみた」と明かす。
こうしたパカレ、フォワイヤール、そしてコサールのヴァン・ド・プリムールには、大橋MWの好きな色調のオレンジ色でデザインされた「キュヴェ・オランジュ」という特別キュヴェがあり、これは大橋MWの特注キュヴェとなっている。
「ボージョレの生産者の間には、ヌーヴォを期日通りにしっかりと仕上げねばならないという義務感も当然あるだろう。部分的にホット・マセレーションを施して色調を素早く抽出したキュヴェに、カーボニック・マセレーションによるフローラルなエステル香を持つキュヴェを緻密にブレンドして仕上げた若々しいヌーヴォにもとても素晴らしいものがある。しかし、一方でパカレやコサールに私がオーダーして仕上げて頂いているような、セミ・カーボニック・マセレーションで仕上げた1本も彼らにとってのヌーヴォーであることは違いない。こうした多様なスタイルの新酒をじっくりと味わい、その年のヴィンテージに世界中のどの市場よりも早く想いを馳せる楽しみ方は、ある意味、実に日本人であることを実感する瞬間でもある。日本人にとっては絶やしてはいけないワイン文化であると感じる」
大橋MWが酒類専門店「山仁」で扱う自然派ヌーヴォーの特別キュヴェの問い合わせは、電話028-633-4821か info@yamajin.com
コート・ドールの収穫量は平年並みだが、ボージョレは、クリュ・ボージョレを産するフルーリー、ムーラン・ナヴァンなど北部が、5月に遅霜の被害を受け、7月には雹が降った。だが、夏は日照に恵まれ、ヌーヴォーは全体として良好なヴィンテージになると期待されている。
ジャン・フォワイヤール、フレデリック・コサール、フィリップ・パカレら自然派生産者から輸入元に届いた情報をまとめると、2017年は各地で例年より2週間早い6月第1週に開花し、生育サイクルが早い。6月は猛暑が続き、8月末から9月初めの収穫が予想されている。ブドウは2015年をほうふつとさせる素晴らしい状態を保っているという。
フォワイヤールでは、5月19日にコート・ド・ピィ周辺に雹が降ったが、開花前で被害はほとんどなかった。「病気は一切ない。不作の2016年の反動なのか、ブドウの房もたくさんあり、大豊作が期待される。連日35度を超す快晴が続き、2015年のように8月の収穫もありうる」と6月の時点で語った。
コサールは、最も標高が高いマルシャン村の畑も、レーニエに隣接する畑も霜害に合わなかった。「ブドウは2015年をほうふつさせる素晴らしい状態。酸のエレガントなマルシャン村と骨格の豊かなレーニエに隣接するブドウをアッサンブラージュし、例年以上に水準の高いヌーヴォーを造る」と、6月の時点で述べた。
パカレがブドウを購入する畑も雹害は受けていない。「こんなに順調にブドウが成長するのはまれ」と話している。マルセル・ラピエールでも雹や病気の被害はなく、1つの房当たりの実付きがよい。「収穫が早いので、十分に醸造の期間をとれる」と期待している。
ボージョレ・ヌーヴォーの解禁は11月第3週の木曜日だが、空輸で出荷するには、遅くとも10月末までにワインを詰める必要がある。自然派生産者はセミ・マセラシオン・カルボニック法をとり、発酵にある程度の時間をかける。このため、収穫の早い2017年はマセラシオンに時間をかけられ、醸造の自由度が高い。
日本は世界トップのボージョレ・ヌーヴォー輸入国だが、輸入量は減少傾向にあり、ピークの2014年の104万ケースから半減した。暮らしに定着した分、クリュ・ボージョレや自然派生産者のヌーヴォーを求める声が強まっている。パカレやフォワイヤールらのヌーヴォーが日本で手に入る背景には、自然派ワインを広めた大橋健一MWの尽力がある。ワインレポートのテイスターでもある大橋MWは、パカレ、コサール、フォワイヤール、ラピエールらと20年以上の交流があり、ワイン造りとパッケージングを日本向けに独自の仕様にして業界を盛り上げてきた。
その一つが、マセラシオン・カルボニックから生じるバナナを連想させるエステル香を控えめにして果実味たっぷりのスタイルに仕上げること。「彼らが採用する従来からの醸造法で仕上げ、特にエステル香が控えめに仕上がったキュヴェを、私の顧客のために特別に瓶詰めしてほしいとお願いした。特別な醸造法によるものではなく、継承されてきた伝統的なスタイルのヌーヴォー・ワインにこだわってきた」と語る。
また、フランスでは新酒を「ヌーヴォー」ではなく、「vin de primeur」とも称することができる。2003年に、この呼び方を採用するようパカレに進言した。「初物をありがたがる日本の文化で、『ヌーヴォー』は肯定的ではあるが、時期を外すと、楽しみにくい、販売しにくいという印象を与える面があった。そこで、INAOの規定にあった『ヴァン・ド・プリムール』を使うようにパカレに勧めてみた」と明かす。
こうしたパカレ、フォワイヤール、そしてコサールのヴァン・ド・プリムールには、大橋MWの好きな色調のオレンジ色でデザインされた「キュヴェ・オランジュ」という特別キュヴェがあり、これは大橋MWの特注キュヴェとなっている。
「ボージョレの生産者の間には、ヌーヴォを期日通りにしっかりと仕上げねばならないという義務感も当然あるだろう。部分的にホット・マセレーションを施して色調を素早く抽出したキュヴェに、カーボニック・マセレーションによるフローラルなエステル香を持つキュヴェを緻密にブレンドして仕上げた若々しいヌーヴォにもとても素晴らしいものがある。しかし、一方でパカレやコサールに私がオーダーして仕上げて頂いているような、セミ・カーボニック・マセレーションで仕上げた1本も彼らにとってのヌーヴォーであることは違いない。こうした多様なスタイルの新酒をじっくりと味わい、その年のヴィンテージに世界中のどの市場よりも早く想いを馳せる楽しみ方は、ある意味、実に日本人であることを実感する瞬間でもある。日本人にとっては絶やしてはいけないワイン文化であると感じる」
大橋MWが酒類専門店「山仁」で扱う自然派ヌーヴォーの特別キュヴェの問い合わせは、電話028-633-4821か info@yamajin.com
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