世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. ルロワ唯一のオフヴィンテージ、最後の2004年を開ける

ルロワ唯一のオフヴィンテージ、最後の2004年を開ける

  • FREE
 オフヴィンテージのないドメーヌ・ルロワの唯一の例外が2004年だ。ラルー・ビーズ・ルロワの心の支えだった夫マルセルが夏に亡くなった。看病で畑の対処が遅れた。グランクリュとプルミエクリュはすべて格下げして、村名とブルゴーニュACとして詰めた。

 この年は雨がちで、多くの造り手がかび対策に頭を悩ませた。全房発酵するビオディナミの造り手は、レディ・ビートルが発生して、入念な処理を強いられた。ロマネ・コンティの04は影響をほぼ感じさせなかったからさすがというべきか。チームで作業しているところは違う。ドメーヌ・ルロワはより個人的な色彩が強い。

 高級居酒屋に持ち込んだのは、04のブルゴーニュAC。ブレンドされている畑が、グランクリュのクロ・ド・ラ・ロッシュ、クロ・ド・ヴージョ、コルトン・レナルド、プルミエクリュのサヴィニ・レ・ボーヌ・レ・ナルバントン、ヴォルネイ・サントノ・デュ・ミリュ、村名のポマール・レ・ヴィニョ。普通なら飲めないワインばかり。07年に7000円で購入した最後の1本を開けた。

 魚しか出てこない店では、なるべく濃くないピノ・ノワールがいい。というわけでこれを引っ張りだした。以前と同じ印象を抱いた。オレンジの皮、枯れ葉、ウイキョウの香り。スパイシーで甘酸っぱい。全房発酵による複雑さがあるが、色は透明ではない。レディ・ビートルの影響だ。ビオディナミの生産者は殺虫剤をまかないから、虫がブドウの房の内側にもぐりこんでしまう。虫の体液(リフレックス・ブラッド)などがワインに混じったため、濁りのある味わいになってしまったと見られる。

 醸造的に正しいかは別として、うまみはあるから困ってしまう。畑のポテンシャルがそれだけあるということか。ダシ的なエキスは十分だが、余韻は短い。ボディは作れても、余韻は作れない。アペラシヨンもわからない。テロワールの純粋表現者といえども、ブレンドしては無理だ。さすがのマダムも全能ではなかった。しかし、貴重な体験であった。

 というようなことを考えながら、さわらや太刀魚を食べ続けた。

 ルロワは後半になってグーッと伸びる……ことはなく、それでも楽しませてくれた。動物的でないため、分厚くて、新鮮な魚との相性もよかった。この夜の主役はトリンバックのクロ・サンテューヌだった。

(2013年12月 東京・六本木の「青華こばやし」で)
ドメーヌ・ルロワ ブルゴーニュ 2004年
購入:都内のショップで7000円
死ぬまでにもう一度飲みたい度:86点

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP