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リオハで最高の白、伝統に回帰するレメリュリ(2019年6月リオハ)

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 フランコ体制の下で発展が遅れたスペインは、1980年代に一気に現代化に向かった。国際品種を植え、灌漑し、洗練された醸造技術を取り入れた。そうした流れの中で、固有のテロワールや多様性に目を向けた造り手も大勢いた。アルバロ・パラシオス、ラウル・ペレス、テルモ・ロドリゲス、ホアン・カルロス・ロペス・デ・ラ・カーレ……例を挙げるときりがないが、アルバロとテルモが2人とも、ボルドーで学んでいたのは興味深い。リオハのワイン造りはボルドーのワイン造りを手本に始まったから、関係は深い。

 しかし、テルモが目指したのは現代的なボルドーとはある意味、反対にあるワイン造りだった。スペインにしかないテロワールや品種の多様性を掘り下げた。リオハの栽培面積は約6万5000ha。ラ・リオハ州、バスク州アラバ県、ナバーラ州に144の基礎自治体がある。20世紀初頭には50種ものブドウ品種が存在し、フィールドブレンドによって、ワインが生産されていた。テルモはレメリュリとコンパニア・デ・ビノス・テルモ・ロドリゲスの2つのワイナリーをリオハで展開しているが、どちらの根幹にも固有品種と土地の個性の表現がある。

 レメリュリはリオハ・アラベサ地区西部のアロに近いラバスティダの、カンタブリア山脈のふもとにある。南向きのこの畑は標高700mにあり、リオハで最も標高が高い。6月中旬の午後6時。低地より早く暑さが和らいできた。テルモが運転する四駆のジープで下生えが茂る山道を縦横無尽に走る。株仕立てのブドウ樹が斜面に点在している。石交じりのやせた粘土の厚い土壌で、大西洋気候の影響が強く雨が多い。冷涼で、春は霜のリスクもある。90haの畑はオーガニックで栽培されるリオハ最大のオーガニック畑。、アーモンド、イチジク、桃、オリーブの樹などが植えられ、生物的な多様性が保たれている。
 
 彼の父は1960年代初期、500年以上の歴史を有する石造りの建物を購入した。14世紀から僧院だったリオハで最も古い建物の1つだ。畑は10世紀から打ち捨てられていたが、父は67年にワイナリーを設立した。1962年生まれのテルモはビルバオ大学を卒業してボルドー大醸造学部に留学。コス・デストゥルネル、エルミタージュのシャーヴ、プロヴァンスのトレヴァロンで修行した。実家に戻ったが、父と意見が対立し、94年にコンパニア・デ・ビノス・テルモ・ロドリゲスを設立した。その後、2010年にレメリュリに帰還した。

 テルモはただ、アルタディのような急進的な改革者ではない。アルタディは2014ヴィンテージから、リオハDOCaを離脱し、テーブルワインに当たるヴィノ・デ・メサとして発売し始めた。レメリュリはリオハDOCaにとどまり、内部から改革をしようと努力している。

 リオハには、ビウラをベースにした多彩なスタイルの白ワインがあるが、レメリュリのブランコは最高のものの1つだ。標高480-805mの区画から9品種のブレンドで造る。野生酵母によりステンレスととコンクリートタンクで発酵され、様々なタイプの樽で熟成される。

 「レメリュリ ブランコ 2015」(Remelluri Blanco 2015)は白ユリ、青りんご、オレンジ、パイナップル、万華鏡のように表情を変え、パレットはフレッシュで、ほろ苦さと甘さが入り交じる。クリーミィで、チョーキー、多彩な要素が継ぎ目なく一体化している。コント・ラフォンのドミニク・ラフォンも一緒に試飲していて、「これはおいしい」とコメントしていた。フィールドブレンドによりレメリュリの地所を表現している。93点。

 「レメリュリ レセルバ 2010」(Remelluri Reserva 2010)は最も生産本数が多い。ハウススタイルを表現している。テンプラニーリョ、ガルナッチャ、グラシアーノ、ビウラ、マルヴァジアのブレンド。野生酵母によりステンレスとオークで発酵し、フレンチオークで17か月間の熟成。アーシーで、かすかにフリンティ、レッドチェリー、プラム、ブラウン系スパイス、シルキーで、水平的に広がるヴォリューム感、熟成しているのにフレッシュなパレット。高精細の映像を見るような緻密さがあり、フレッシュな酸でフィニッシュがしめくくられる。93点。


 「レメリュリ ラ・グランハ・レメリュリ グラン・レセルバ 2015」(Remelluri La Granja Remelluri Gran Reserva 2015) は弾けるような明るい果実、ダークチェリー、アーシーで、ローズマリー、洗練された上質なタンニン、継ぎ目がなくシルキー、濃厚なエキスと生き生きした酸のバランスがとれ、ハーモニーがある。94点。

 「レメリュリ ラ・グランハ・レメリュリ グラン・レセルバ 2012」(Remelluri La Granja Remelluri Gran Reserva 2012) はテンプラニーリョ70%、ガルナッチャ25%、グラシアーノ5%。ブラックチェリー、リコリス、ガリーグ、シルキーなタンニン、しっかりしたグリップ、重厚感と長さがある。エキゾチックで、後を引く長いフィニッシュ。94点。

 「レメリュリ 1995」(Remelluri 1995)は熟成したポムロールのようだ。なめらかで、香り高い。黒みの強い腐葉土、タバコ、タップナード、硬さを残すが、うまみの乗ったパレット、チョーキーなミネラル感、洗練されたバランス感では近年のヴィンテージにかなわらないが、素朴でむきだしの力強さがある。93点。
高低差に富む標高の高い畑
株仕立てでフィールドブレンド
レメリュリ ブランコ 2015のMg

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