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日本ワインを世界にアピール、IWCプロデューサーと大橋健一MWによるマスタークラス「ワイン品評会」

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 ロンドンで開かれる世界最大級のワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」(IWC)のイベント・プロデューサー、クリス・アシュトンが来日し、長らく審査員を務める大橋健一MWと共に、ワインコンペティションの効果と意義を紹介するマスタークラスを、24日、甲府市で開いた。

 IWCは40人のMWを含む55か国の450人以上の審査員が厳格で、客観的な審査を行う。メダルの対象となるワインは3回から6回にわたって試飲を繰り返す。初期の審査で落とされたワインを復活させる仕組みもある。審査員同士がお互いに審査して、審査の品質を保持している。ウェブサイトは171か国からアクセスがあり、世界の13億人が見ている。

 世界各国の品評会で審査員を務める大橋MWによると、品評会の審査の手法は3種類ある。討論をしないOIV方式、デカンター・ワイン・アワーズのようなインフルエンサーがリードする方式、IWCのように審査員の討論を重視している方式。多様な意見を反映させるIWCの民主的な運営が客観的な評価につながると見ている。品評会の効果については、売り上げの増加、ブランドのアピール、産地の知名度アップ、輸出の増大、ワイン観光の振興を挙げた。

 売り上げ増の実例として、シャトー・メルシャンの「シャルドネ アンウッデド 2015」の売り上げが40%増え、「サントリー 登美 2013」が短期間で売り切れたケースを紹介。そのうえで「ワイン市場が成熟すると、ワインは日常品となり、スーパーマーケットのようなオフトレードが重要となる。売り場で目立つのはコンペティションのメダルのシールを貼ったワイン。メダルのワインは売り上げとブランドの認知度のアップにつながる」と語った。

 大橋MWは最近、次回の版の「ワールド・アトラス・オブ・ワイン」のための日本ワインの項目を執筆した。その際に、「日本ワインは勢いがあり、ページを増やして欲しい」と、編者のジャンシス・ロビンソンにお願いしたところ、「日本ががんばっているのはわかるけど、もう少し国際的な認知度が上がってからの方がいいのでは」と言われて、今回は希望がかなわなかったという。

 「日本のワインや個別の産地名は国際舞台ではまだ低い。コンペティションで入賞ワインが増えれば、『勝沼』や『塩尻』という産地名が、世界で普通に語られるようになる。そうなると、世界的なジャーナリストが取材に来るし、各国のバイヤーが注目して輸出が増える。来日するワイン観光客も増える。私も日本人として、日本ワインがもっと世界に広がってほしい。そのためにはワインコンペティションへの出品が重要となる」

 クリス・アシュトンは、IWCが独立した第三者的な機関によって国際的なスケールで運営されている点を紹介し、「我々はプロモーションと教育に力を入れている。ワインのことをよく知らない大半の消費者をターゲットにしている」と強調。「IWCはSAKE部門を11年間続けてきて、世界的な飲み物にするのに貢献した。日本ワインでも、皆さんのお手伝いをしたい」と語った。

 マスタークラスには、山梨を中心とした国内のトップワイナリーや東京に本拠を置くインポーターが出席し、熱心に耳を傾け、2018年の審査でゴールドメダルなどを受賞したワインを試飲した。

 IWCは来年から上海でも、中国産ワインや中国に輸入されるワインを対象にコンペティションを開く。
右から、IWCのクリス・アシュトン、大橋健一MW、IWC中国担当のCrystal Xiao

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