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丸くてメロー、「Nechi 2017」の新酒発表

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 新潟・糸魚川の根地谷で、ドメーヌ体制により造られる「根知男山」の新酒発表会が、東京・恵比寿で開かれた。2017年は日照不足で収穫量が減少したが、柔らかく、旨味が乗っている。

 「根知男山」の醸造元である渡辺酒造店は2003年に、米の栽培から酒の仕込みまでを一貫して行うドメーヌ体制に移行した。2つの山の峡谷部に位置する豪雪地帯で、五百万石と越淡麗を栽培する。世界最大級のワインコンペティション「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」(IWC)に日本酒部門を設立したSAKEのエキスパート、サム・ハロップMW、彼の同僚アンドレアス・クバックMWという2人のワインメーカーも、発表会に出席した。

 渡辺吉樹社長によると、7月中旬から8月下旬にかけて日照が不足し、7月初めの集中豪雨のせいもあって、圃場が軟弱になった。自社栽培を始めて15年間で、収穫量は過去最低だが、品質は良好で、すべて一等米以上に認定され、五百万石は特等米が前年を上回る出来となった。

 「米は種の保存をしようとして、一部を犠牲にしても、まともな米を造って、次世代につなごうとする。根知谷は特等米を生み出す風土がある。米を触ってお酒にした感覚は柔らかかった」と、渡辺社長は解説した。

 「根知谷産五百万石特等米(日ノ詰)」「根知谷産越淡麗一等米」「根知谷産五百万石一等米」「根知谷産五百万石一等米(無農薬バージョン)」「根知男山 山廃仕込」の2017年を試飲した。

 「根知谷産五百万石特等米(日ノ詰)」はフレッシュで、まったりしたテクスチャー、マシュマロのように丸く、セイバリーで、深みがある。「根知谷産越淡麗一等米」は、厚みがあり、力強い。ほっそりしているが、うまみが乗っている。

 「根知谷産五百万石一等米」は、乳製品のようなまろやかさと、うまみがギュッと詰まっている。長さがあるう。「根知谷産五百万石一等米(無農薬バージョン)」はヴォリューム感があり、一本筋が通っている。「根知男山 山廃仕込」はほろ苦さがあるが、旨味とアルコールのバランスがとれている。

 アンドレアスは「酒にも土地の感覚が表現されている。収穫年ととれた場所が表現されているのは大発見だった。最も重要なのはエモーショナル・コンテンツだ」とコメント。サムは「センス・オブ・プレイスを表現するには、翻訳する人が必要となる。偉大なワインメーカーの力量は難しいヴィンテージに現れる。5銘柄すべてが抜きん出ていた。ファンタスティックな酒だ」と語った。

 また、ブランド・アンバサダーの大橋健一MWは「雨のせいで、テクスチャーがゆるめで、久しぶりに甘めに仕上がった。丸くて、メローで、早くから楽しめる。長持ちする2016年と比較して飲む楽しみもある」と語った。
渡辺吉樹社長
左から、サム・ハロップMW、大橋健一MW、アンドレアス・クバックMW

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