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AIがソムリエに勝てるか? 結果は引き分け

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 人工知能がソムリエに勝てるか? パリで初めてのイベントが行われ、結果は引き分けに終わった。

 Vitisphereによると、フランスのワインテクノロジー企業が新開発した人工知能「Matcha」が、アルゼンチン最優秀ソムリエのパズ・レビンソン、ワイン評論家のアントワーヌ・ジェルベルと対決し、料理とワインのペアリングなどを競った。Matchaは文書を読み取って、データベースから解答を出すチャットボット。パリのレストランのソムリエの協力を得て、2016年から開発してきた。

 レビンソンは2016年の世界最優秀ソムリエコンクールで4位に入り、フランスの3つ星レストランを擁する「グループ・ピック」のチーフ・ソムリエ・エグゼクティヴ。ジェルベルはウェブTV「Tellement Soif」の編集長で、ラ・ルヴュ・デ・ヴァン・ド・フランス誌の元テイスターを務めていた。

 質問は3つ。最初は古典的な料理に合わせるワイン。2問目は、結婚10周年の夫妻に、50ユーロまでの予算で勧めるオーガニックの白ワイン選び。3問目はレストランの個性や料理などを要約したワインリスト作成。1つ星「カレ・デ・フィヤン」のアラン・デュトゥルニエ・シェフ、サンセールの醸造家クレマン・ピナール、パリの「Le Repaire de Bacchus」のカヴィストの3人が、人間とAIの解答を審査した。

 1、2問目はソムリエ&評論家が勝利した。Matchaには妙な組み合わせがあった。3問目は、レビンソンが1時間かけて作成したリストよりMatchaが数秒で作成したものを、審査員が高く評価した。Matchaは560品目があるデータベースから38ワインを選びだした。総合すると、人間側の得点は20点中15点で、Matchaは20点中14点とほぼ互角の結果に終わった。

 Matchaのペアリングは、深いワインの知識を持つデュトゥルニエ・シェフを全体的に満足させるものだったが、人間の持つニュアンスや情緒にはやや欠けたという。

 Matchaは、ソムリエのいないレストラン、スーパーマーケットの品揃え、オンラインショップでの特別注文対応などを想定して開発され、ウェブサイトで実用化される。スマホ用に展開することも計画している。

 レストランでのワインサービスは、お客の気分、その日の天候、在庫ワインの状態、食べ物の好みなど、無数に考慮すべき要素がある。優れたソムリエは、豊富な経験と対人能力に基づいて、短時間で満足のサービスをできる。AIが進化しても、変数の多いライブの現場で人間に追いつくのは難しいだろう。

 ただ、デジタルな販売サービスや、ソムリエのいないレストランでのワインリスト作成などに威力を発揮するのは間違いない。
Twitter@matchawine
「グループ・ピック」のチーフ・ソムリエ・エグゼクティヴ務めるPaz Levinson Facebook

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