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まだフレッシュなブラン・ド・ミレネール1990

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 昔からのシャルル・エドシックのファンはシャンパン・チャーリーという名を覚えているだろう。

 米国にメゾンの名前を広めたシャルル・カミーユ・エドシックにちなんでいる。南北戦争直前の1857年に初めて米国を訪れて、曲芸で売り込み、「シャンパン・チャーリー」というミュージカルのモデルにもなった。シャルルは英語でチャールズ。それを略してチャーリーと呼ばれた。

 シャンパン・チャーリーはメゾンのプレスティージュ・キュヴェとして、1979、1981、1982、1983、1985年に造られたが、そこで生産は終わった。シャルドネとピノ・ノワールが半々の比率だった。現在のプレスティージュ・キュヴェであるブラン・ド・ミレネールはブラン・ド・ブラン。なぜブレンド比率が変わったのか。その理由を広報担当のカトリーヌ・キュリエから聞いた。

 「1985年に、オーナーがアンリオからレミー・コワントローに変わった。そのときはクリュッグもレミー・コアントロー傘下だった。クリュッグと差別化を図るため、シャンパン・チャーリーは85年で止めて、ブラン・ド・ミレネールを始めたのです」

 わかりやすい話だ。クリュッグは現在、LVMH傘下にあるが、ほかのメゾンと競合することはない。ドン・ペリニヨンとも、ヴーヴ・クリコとも、リュイナールともスタイルが違う。シャルルとピペの両エドシックもスタイルが分かれている。現在はレミー・コワントローからラグジュアリー・ブランドのEPIにオーナーが変わった。

 シャンパーニュの初日にシャルル・エドシックを訪問予定だったので、出かける直前に1990年のブラン・ド・ミレネールを開けた。83年、85年に続いて3回目のリリース。現行ヴィンテージが95年だから、ずいぶんと余裕がある。ほとんどのメゾンのプレスティージュは2000年代に突入しているのだから。

 シャンパーニュの1990年は熟しすぎも多いが、これは驚くほどフレッシュだった。クリーンで焦点が合っている。クリーミィでフルボディ。黄金に輝いている。ステンレスタンクで醸造。重さがなく、繊細さがある。高価で手の届かないサロンを1本買う値段で、ブラン・ド・ミレネールが何本も買える。唯一の難はドザージュが多めなことだが、時代を考えると仕方ない。

 メゾンの名を高めたダニエル・ティボーの後を継ぐティエリー・ロセットも優秀な醸造責任者だ。もっと評価されていいメゾンだ。

(2014年1月 和食店で)
シャンパーニュ シャルル・エドシック ブラン・ド・ミレネール 1990
購入:米西海岸のショップ 150ドル
死ぬまでにもう一度は飲みたい度:95点

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