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ミクロ・ネゴスの星、バンジャマン・ルルー

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 ブルゴーニュの次世代をになうバンジャマン・ルルー氏が再来日し、「ミクロ・ネゴシアン」としての哲学などを語った。

 ルルー氏は1975年、ボーヌの花屋に生まれた。13歳で醸造学校に入り、大学で醸造士の国家資格を取得。オレゴン、ニュージーランド、ボルドーなどで修行し、23歳で戻ってきた。99年にポマールを代表するコント・アルマンの醸造責任者に、パスカル・マルシャンの後継者として就任した。

 「世界のピノ・ノワール造りを見たつもりでいたが、今では経験が浅いのにすごいポストに就いたと思う。ワイン造りの家系でない生産者は、ブルゴーニュで珍しい。ワインを造りたいという情熱に動かされている」

 ミクロ・ネゴシアンは英国のジャンシス・ロビンソンMWが広めた言葉と見られる。

 「一昔前は、ヴィニュロン(造り手)がブドウを栽培したら、ネゴシアンがそれをどう売るかに関心がなかった。私は栽培農家と付き合いながら、ブドウが醸造を経てワインになるまですべての面倒を見る。ミクロ=小規模がキーワード。ブルゴーニュにはモザイク化した小さな区画がたくさんある。それらのリューディをラベルに表示して、知ってもらうのは挑戦的な仕事だ。ドメーヌとかネゴシアンとかの区別ではなく、個人の名前で品質を見て欲しいから、ラベルにはバンジャマン・ルルーの名前を表示している」

 試飲したのは2010の白2種、赤3種。白はブルゴーニュ・ブラン(参考小売4800円)とシャサーニュ・モンラッシェ・アンバゼ(同1万3500円)。白も赤もうまく造るが、個人的には白の愛好家。「コント・アルマンで白を造りたくて畑を探した。その過程でブドウを買う仕組みを学んだ。それが2007年のバンジャマン・ルルーの立ち上げに役立った」という。

 ブルゴーニュ・ブランは寛容な味わいだが、熟度と酸度のバランスが良い。2010らしい。ピュリニー・モンラッシェとムルソーの畑から。シャサーニュ・モンラッシェ・アンバゼはミネラル感が強く、熟した黄色の果実の香りがあり、果実が詰まっている。シャサーニュ・モンラッシェ村の南端でサントネイの手前。

 「アンバゼは有名なモルジョの畑名をつけて売ることもできるが、造っている近くの区画がどれも異なる味わいなので、アンバゼの名前で出している。最もミネラル感と清涼感の出る畑。2010は赤も白も満足できる珍しいヴィンテージ。ピノ・ノワールは暑さは不要で、光が必要な品種。シャルドネは光はなくてもいいが、暑さが必要。涼しい年は酸が強くなる。私の白の畑は石灰が多く、ミネラルを表現している」

 澱を攪拌するバトナージュは全く行わない。

 「バトナージュは厚みを出すが、酸化の危険もある。90年代前半に流行ったのは、米国から新樽をきかせた豊かなシャルドネが求められたから。当時は人工酵母が主流。それだと発酵が短期間で終わるので、酵母に栄養を与えるため、流行ったのだと思う」

 赤はサヴィニー・レ・ボーヌ・オー・ジャロン(同7700円)、ヴォルネイ・クロ・ドラ・カーヴ・デ・デュック(同1万3500円)、ニュイ・サン・ジョルジュ・オー・トレイ(同1万3500円)。サヴィニ・レ・ボーヌはボディが軽く、チェリーの香り。ヴォルネイはシルキーで花の香り、優美で長い。ニュイ・サン・ジョルジュはタンニンががっしりとして、土臭く、ボディにふくらみがある。全房発酵の比率はヴィンテージと畑によって判断する。決まったレシピはない。今回の赤3種はすべて除梗した。

 「サヴィニー・レ・ボーヌは砂地、粘土、石灰質の3つの土壌に分かれていて、オー・ジャロンは砂地。繊細でデリケートな味になる。ヴォルネイは暖かい区画で、きれいに熟す。ブラインドで最もわかりやすい。ニュイ・サン・ジョルジュは農家のブドウをすべて買っている。農作業も私の指示通りにしてもらい、2006年から始めて、驚くほどブドウの質が上がった。一般的に、コート・ド・ニュイと違って、コート・ド・ボーヌは1日、収穫がずれただけでもエレガンスが得られない厳しさがある」

 現在、ルルー氏が個人所有する畑は3ヘクタール。ムルソー・ジュヌヴリエール、バタール・モンラッシェも含まれる。「ジュヌヴリエールは14年から発売するが、ラベルを見ただけではわからない。バンジャマン・ルルーの名前のままだからね」

 問い合わせはヴィノラム(03・3562・1616)。

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