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ヴェルズネイのピノ・ノワールの真価、ペユ・シモネ

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 シャンパーニュで最良のピノ・ノワールを産むヴェルズネイ村を代表するペユ・シモネ当主のダヴィッド・ペユ氏が来日し、ワイン造りを語った。

 ペユ家はヴェルズネイに4代続く栽培農家。ダヴィッドはヴェルズネイ村の栽培組合会長を務める。所有する8ヘクタールのほとんどがグランクリュという恵まれた造り手だ。モンターニュ・ド・ランス地区のピノ・ノワールで有名なヴェルズネイ、ヴェルジー、マイィ、シルリーに加えて、コート・デ・ブラン地区のル・メニル・シュール・オジェ。ヴェルジーとトレパイユの中間にあるヴィレール・マルムリーのみが95%のプルミエクリュだが、この村はほとんどがシャルドネを栽培しており、ペユ・シモネもコトー・シャンプノワ・ブランに使うだけ。

 ピノ・ノワールを産する村では、アイ、ブジー、アンボネイなども有名だが、ヴェルズネイは最良の一つ。420ヘクタールのうち、90%でピノ・ノワールが栽培されている。重要な村なので、メゾンがほぼ半分の面積を所有している。ルイ・ロデレールのクリスタルを支えるのもヴェルズネイだ。

 「北向き斜面というのがポイント。湿度が低く、日照時間が長く、フレッシュ感と複雑性が保たれる。表土は薄く、根はすぐに白亜質に届く。マイィより4、5日は収穫が遅れる。マイィは厳格で、閉じたところがあり、ヴェルジーはフルーティ。ヴェルズネイはふくよかで、魅力的で、なまめかしさがある。ピノ・ノワールのエレガンスを表現できる」

 2008年からマイィの畑1ヘクタールでビオロジックに取り組む。微妙な酸化を狙って、ピノ・ノワールの醸造にのみバリックを使用する。バリックは、ブルゴーニュのアルノー・アントから購入する2、3年目の225リットルの中古樽と、ヴェルジーの畑のすぐ上部斜面の森から切り出した205リットルの樽。

 フラッグシップの「グランクリュ・ヴェルズネイ ブラン・ド・ノワール」(小売価格 7500円)は、ヴェルズネイの樹齢30年の区画レ・ペトワと60年の区画レ・ヌーのピノノワールを205リットルの小樽を60%使って醸造する。「グランクリュ 2005」(同9000円)は、ブルゴーニュの225リットル樽のみで醸造。ヴェルズネイの赤ワインを10%ブレンドする「ブリュット・ロゼ グランクリュ」(小売価格 7000円)にも一部、バリックを使う。

 クリュッグに20年以上、ブドウを供給してきたが、2年前からすべてのブドウを自家元詰めしている。ただし、赤ワインをバルクで、シャルパンティエ、ジャン・ラルマン、ジャニソンに売却している。レコルタン・マニピュランは、ロゼのブレンド用赤ワインを全体の5%まで購入可能で、これらの生産者もペユの赤ワインを使っている。優れた赤ワインは限られるため、白ワインより20%は高く売れるという。

 栽培組合会長として、4月にヴェルズネイ村の造り手有志を募って、ヴァン・クレール(ブレンド前のベースワイン)の試飲会を村で開く。今年で2年目だ。村単位で行うのは例がない。

 「50~60軒の栽培農家がいるが、参加するのは十数軒。ブラン・ド・ノワールを造っているのはうち3、4軒にすぎない。ブドウがキロ当たり6・2ユーロで売れるから、自分で詰めるよりは売っている方が楽だ。でも、ヴェルズネイのピノ・ノワールの素晴らしさを知ってもらうために始めた。テロワールを表現するシャンパーニュを造るという流れにも沿っている」

 年産4万5000本。5つのキュヴェすべてがグランクリュを名乗る。ベーシックな「ブリュット・セレクション グランクリュ」(同6000円)。「グランクリュ ル メニル・シュール・オジェ ブラン・ド・ブラン」(同7500円)も生産する。

 秀逸なのはブラン・ド・ノワールとミレジメ。フロスト瓶入りのブラン・ド・ノワールはチョーキーなミネラル感に支えられ、透明な酸、ふくよかな果実、複雑な香りがある。ヴェルズネイの真価を体験できる。ミレジメ2005は50%ピノ・ノワールにヴェルズネイのシャルドネ30%とメニルのシャルドネ20%をブレンド。樽使いが上手で、ピノ・ムニエ抜きのクリュッグを連想させる。

 そう話したら、正直な笑顔を見せた。ドザージュはすべてリットル当たり8グラム前後。「もっと減らしてもいい」と言うと、複雑な表情だった。1968年生まれ。2004年に父親から当主を引き継いだ。

 豊通食料(03-4306-8539)。

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