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日米新貿易協定の合意、カリフォルニアのデイリーワイン復権の可能性

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 日本と米国による新たな貿易協定交渉の最終合意によって、米国産バルクワインの関税が撤廃される見込みが出てきた。カリフォルニアの安価なデイリーワインの価格が下がり、競争力が増す可能性を提供する。


 米国産ワインの90%以上はカリフォルニアワインが占めている。今回の合意により、カリフォルニアワインにかかる関税(15%または1リットル125円の安い方)は段階的に引き下げられ、2025年度に撤廃される見通し。手続きが順調に進めば、年内にも発効する可能性がある。


 カリフォルニアワイン協会(ロバート・P・コッチ会長兼CEO)の26日の発表によると、米国産バルクワインの関税は発効時に即時撤廃される見込み。これによって、500-1000円のデイリーワインの価格が下がり、関税ゼロのチリやオーストラリア産ワインに対抗する競争力が増す。


 現在、カリフォルニアのバルクワインには1リットル当たり45円(750mlあたり33.75円)の関税がかかっている。これに対して、経済連携協定(EPA)を締結しているチリやオーストラリア産バルクワインの関税はゼロとなっている。そのため、スーパーマーケットなどの店頭で販売されるデイリーワインの分野で、カリフォルニアワインは遅れをとっている。


 世界で4番目のカリフォルニワイン輸出市場の日本は伝統的に、プレミアムワインは強いが、デイリーワインは弱い。これは関税ゼロのチリやオーストラリアのバルクワインに押されているため。カリフォルニアワイン協会が今年4月に発表した2018年のワイン輸出統計によると、日本の輸入金額は1%と微減だったが、輸入量はバルクワインの34%減少を受けて22%減少した。


 日本とチリは2007年にEPAを締結し、ワインの関税は2019年4月に完全撤廃された。チリはフランスを抜いて4年連続でNo.1輸入ワインとなっている。2018年の日本の輸入ワイン量は、1位のチリが31%で、フランス(25.4%)、イタリア(18.7%)と続き、米国は11%で4位。今回の関税引き下げは、かつてはスーパーの店頭でよく見られたカリフォルニアのデイリーワインが、ボトルやバッグ・イン・ボックスで復権するきっかけを提供する。


 2018年の米国の世界へのワイン輸出は、金額・量ともに減少した。カリフォルニアワイン協会はその理由について、「強いドルと報復関税、政府の補助や自由貿易の恩恵を受けた外国生産者からの競争」を挙げた。トランプ政権のもたらす米中貿易摩擦で、中国が輸入する米国産ワインに課せられる消費税や関税は計93%に達し、小売価格は30%以上高くなり、カリフォルニアの生産者は苦しんでいる。


 今回の合意について、ロバート・P・コッチ会長は「日本はカリフォルニアのワイナリーにとって極めて重要な市場だが、米国はこれまで一般税率15%の輸入関税が適用される唯一の主要ワイン生産国だった。ワインを含む米国産農産物の関税を引き下げる協定の合意を喜ばしく思う。日本の消費者がカリフォルニアワインの高品質と多様性を楽しむ、より多くの機会を提供するだろう」との声明を発表した。

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