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南ア・エルギンのクールネス、時代にフィットしたリチャード・カーショーMWのシャルドネ

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 マスター・オブ・ワイン(MW)の造るワインに外れはない。オーストラリアやニュージーランドから産する多くのワインを飲むたびにそう思う。基礎知識だけでなく、世界の潮流に通じていて、ち密なスタイルに仕上げる。資質的には、世界を飛び回る醸造コンサルタントと似ているが、MWが造る場合は本人がすべての過程を煮詰めている。栽培適地を探しだし、クローンや仕立てを考え、適切な醸造・育成を施す。論理的に構築され、時代が求めるワインを生み出す。
 2011年に南アフリカ初のMWとなったリチャード・カーショーMWがオーナー兼ワインメーカーのリチャード・カーショー・ワインズも、経験と視野の広さが感じられる。「リチャード・カーショウ・ワインズ エルギン・シャルドネ クローナル・セレクション 2014」は、デビューから3年目とは思えない完成度に達している。
 白桃、パイナップル、砕いた砂利、はちきれんばかりの熟した果実とキリッとした酸のバランスがとれ、オークのタッチは洗練されている。焦点があっていて、チョーキーなミネラル感に縁どられたフィニッシュ。時流に合った抑制されたスタイル。偉大な造り手が太陽に恵まれた年に手掛けたコルトン・シャルルマーニュを思わせる。5000円をきる実売価格で、これに対抗できるブルゴーニュはそう多くはない。9400本の生産。
 エルギンの歴史は浅い。ブドウ樹が植えられたのは1980年代以降。かつてはリンゴ農園ばかりだった。それだけ冷しかったのだ。カリフォルニア・ソノマのセバストポルを連想する。畑の標高は200メートル以上あり、大西洋からの海風が吹き付ける。れきや砂の多い水はけのよい土壌で、ディジョンクローンを栽培している。樹齢12年というから、まだよくなるだろう。ケープ・サウスコーストのウォーカー・ベイと並ぶ南ア注目の産地だ。
 カーショー・ワインは、ティム・アトキンMWが発表した2016年のケープ格付けで、2級に位置付けられた。2012年のデビューから毎年、順位を上げている。ジャンシス・ロビンソンMWや、キャシィ・ヴァン・ジルMWが編集するプラッターズ・ガイドで高い評価を得ているのも当然だろう。まだ日本に入ってきていないシラーも、冷涼気候のシラーとして期待できる。

2016年9月21日 自宅

リチャード・カーショウ・ワインズ エルギン・シャルドネ クローナル・セレクション 2014
92点
希望小売価格:5500円
輸入元:モトックス

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