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伝説の「パリスの審判」を主宰したスティーヴン・スパリュアが死去

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 1976年の「パリスの審判」でカリフォルニアワインの品質を世界に広めた評論家で教育家のスティーヴン・スパリュアが9日、自宅で亡くなった。80歳の誕生日を目前にしていた。


 1941年生まれ。スパリュアは1976年にパリのインターコンチネンタルホテルで、生産者、評論家、ソムリエらを招いて、カリフォルニアワインとボルドー、ブルゴーニュワインをブラインドで試飲するパリ・テイスティングを開いて、カリフォルニアワインの可能性を世界に広めた。


 2004年のベルリン・テイスティングでは、チリのエデュアルド・チャドウィックの造るワインをボルドーやスーパータスカンとブラインド試飲で対決させ、チリワインの高い品質を、またもや世界に知らしめた。世界のワイン産業に風穴を開けた広かれた視野と新たな発想の持ち主だった。


 1964年、ロンドンで最も古いワイン商「クリストファー・アンド・カンパニー」(Christopher and Co)に研修生として入社。1971年にパリにワインショップ「レ・カーヴ・ド・ラ・マドレーヌ」をオープンさせ、フランス初の私立ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」(L'Academie du Vin)を設立した。カーヴには若きミッシェル・ベタンヌらがたむろし、フランスワインの最新の情報が集まっていた。


 アカデミー・デュ・ヴァンは日本にもその名を引き継ぐワインスクールが開校し、様々な機会に来日して、講義やイベントを行った。英国の評論家、教育家としては、ジャンシス・ロビンソンと並んで最もよく知られた人物の1人だった。晩年は妻のベラと共にドーセットで、「ブライド・ヴァレー」の名でスパークリングワイン造りを行った。


 英国を代表するデカンター誌に、1993年から300本を超すコラムを執筆した。インターナショナル・ワイン・チャレンジに対抗して、デカンター・ワールド・ワイン・アワーズを設立した。ワイン業界に対する多大な貢献によって、2017年のデカンター・マン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。


 東京で何度か、講義を聞いたり、食事をともにする機会に恵まれた。幅広くて、奥行きの深い体験に基づいて、洞察力と知性に富む話を聞かせてくれた。偉大なキャリアを誇るにもかかわらず、検挙で温和な人柄で、英国流のユーモアとウィットに富む魅力的な紳士だった。


 ジャンシス・ロビンソン、ジェーン・アンソン、ニール・マーティン、デカンターのサラ・ケンプ元社長や編集者、シャトー・モンテレーナのボー・バレットら数多くのワイン業界人が、彼の死を悼むメッセージを発している。

2018年にエデュワルド・チャドウィックと一緒に来日

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