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進化するドイツのピノ・ノワール、ジャン・シュトッデンのレッヒャー・ヘレンベルグ

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 旧世界のピノ・ノワールを見回した時、注目すべきはドイツだ。シュペートブルクンダー(ピノ・ノワール)の栽培面積は1万2000ヘクタールに達し、リースリング、ミュラー・トゥルガルに次いで国内で3番目。ピノ・ノワールの栽培面積は世界で3番目。冷涼な気候を生かして、アールや南部のバーデン、ヴュルテンベルクなどから、興味深いワインが生まれている。
 アールは中でも宝庫だ。ジャン・シュトッデンのトップキュヴェ「シュペート・ブルグンダー アルト・レーベン 2010」は、英デカンター誌の特集で、ブルゴーニュ以外の最良のピノ・ノワールに選ばれた。日本に輸入されている特級畑レッヒャー・ヘレンベルグの定番キュヴェをヴィンテージ違いで試飲した。

 「ジャン・シュトッデン レッヒャー・ヘレンベルグ シュペートブルグンダー 2011」は淡いルビー、木苺、リンゴの赤い皮、バラの花びら、抽出は穏やかで、シルキーなテクスチャー。生き生きとしていて、オークは柔らかく統合されている。ふくらみのあるフィニッシュ。2011は暑くて、糖度の上がったヴィンテージ。
 「ジャン・シュトッデン レッヒャー・ヘレンベルグ シュペートブルグンダー 2008」はより線の細いエレガントなスタイル。現当主アレクサンドルの父が手掛けたヴィンテージ。野生のハーブ、ラズベリー、ほのかに黒いキノコのタッチ。ボディはスリムだが、まろやかで、ミッドパレットは厚く、余韻は長い。涼しい年らしく、酸のキレがある。
 アレクサンドルは南ア、オレゴン、ブルゴーニュなどで修業した。20%新樽のフレンチバリックで熟成する。急斜面のスレート(粘板岩)土壌と風の強いテロワールから、ミネラル主体のワインを産する。アルザスと同様の冷涼感があり、樽使いはブルゴーニュの優れた生産者同様に洗練されている。

 ヴュルテンベルクの「ダウテル シュペートブルグンダー カルクシューペン GG 2010」は、砕いたストロベリー、タバコ、腐葉土、抽出はやや強め、エキス分が多く、うまみがたっぷり。果実の濃密さがある。早くから熟成にバリックを使っていたが、現在は300リットルの樽を使っている。シュトゥットガルトのポルシェ博物館で供されているという。
 ドイツ最南端のバーデンからは「シュナイダー シュペートブルグンダー トロッケンC 2010」。抑制されたスタイルだが、骨組みはしっかりとしている。レッドチェリー、野バラ、岩を砕いた香り、濃厚なエキスがあり、うまみがたっぷり。味わいの輪郭がはっきりしていて、最も日本人のパレットに合うだろう。「C」は黄土層土壌のキュヴェを意味する。
 アルザスやシャンパーニュのピノ・ノワールを連想させる薄い色調と高い酸が特色だが、熟度は高く、樽をうまく調和させている。全体にニュージーランドやオーストラリアより引き締まっていて、ヨーロッパ的スタイル。醸造的な精度はまだ上げられるだろう。ドイツのシュペートブルグンダーは探索しがいがある。

2016年5月14日 東京・銀座で

ジャン・シュトッデン レッヒャー・ヘレンベルグ シュペートブルグンダー 2011
90点
参考上代:8980円
ジャン・シュトッデン レッヒャー・ヘレンベルグ シュペートブルグンダー 2008
91点
ダウテル シュペートブルグンダー カルクシューペン GG 2010
89点
参考上代:1万1450円
シュナイダー シュペートブルグンダー トロッケンC 2010
92点
参考上代:1万2140円
輸入元:ザート・トレーディング

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