世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. クリーンでミネラル、ヴァンサン・モットの掘り出し物シャブリ

クリーンでミネラル、ヴァンサン・モットの掘り出し物シャブリ

  • FREE
 シャブリは大好きなワインだ。1週間のうち毎日飲んでも飽きないが、造り手を選ぶ必要がある。一つの目安は輸入元を選ぶことだろう。
 ヴァンサン・モットはブルゴーニュの伝説的なクルティエ(仲買人)のベッキー・ワッサーマンが扱っている。彼女が発掘した生産者を並べれば、それだけでブルゴーニュ名鑑が出来上がるほどの目利きで、生産者から信頼されている。「ブルゴーニュ大全」を書いたBB&Rのバイヤー、ジャスパー・モリスMWとは長い付き合いだから、BB&Rが扱うようになったのだろう。

 「プティ・シャブリ 2014」はレモンの皮、白コショウ、フリンティで、かすかにショウガの香り。生き生きしていて、気軽に楽しめる。水準以下のものが多いプティ・シャブリの中では、失望させられない。キンメリッジアン土壌の樹齢10-30年の畑から。フルマロして、ステンレスタンクで6カ月間の熟成をした。

 「シャブリ 2013」は白い花、レモンドロップ、砕いた石の粉、ソリッドだが、よく熟している。グレープフルーツの香るフィニッシュ。樹齢45、20、15年の畑のミックス。熟成期間は6-18か月間。
 生産者の力量はプルミエクリュの畑を飲むとよくわかる。「シャブリ プルミエクリュ ヴォークパン 2014」は樹齢40年。ゴールデンデリシャス、洋ナシ、ミント、リッチで、焦点が合っている。余韻に黄桃の香りと、唇に塩をなめたような味わいが残る。南向き斜面のヴォークパンらしい豊かさ。十分な糖度が得られた2014は今が買いだ。
 シャブリは樽派とステンレスタンク派がある。かつてはセメントかステンレスタンクで発酵させるのが主流だったが、近年は樽との折衷派も増えている。シャブリの最高峰は樽派のラヴノーとドーヴィサだが、ヴァンサン・モットがステンレスタンクで造るクリーンで、正確なシャブリはブライトな酸とミネラル感をピュアに表現している。ただし、グランクリュは折衷派の造りになっている。そちらもバランスがとれている。

 「シャブリ グランクリュ ブーグロ 2012」は、黄桃、パッションフルーツ、鉱物的なミネラル感がまとわりつき、突き刺すような酸とまろやかな果実の両方を備える。ヴァンサン・モットはウィリアム・フェーヴルに次ぐブーグロの畑の所有者。グランクリュの斜面下部らしいふくらみがある。80%をステンレスタンクで、20%を2年落ちの樽で発酵している。2012は熟成感が出てきて、開き始めている。
 ヴァンサン・モットは19世紀からの歴史を持つ家族経営の老舗ドメーヌ・デュ・コロンビエの一員。自分の名前でもワインを出している。これを教えてくれたのは大橋健一MWだった。シャブリが最も好きな産地という専門家だから、全面的に信頼できる。ドメーヌ・デュ・コロンビエがBB&R向けに詰めている「ベリーズ シャブリ」もある。

2016年5月21日 自宅で

ヴァンサン・モット プティ・シャブリ 2014
86点
価格:2380円
ヴァンサン・モット シャブリ 2013
88点
価格:3030円
ヴァンサン・モット シャブリ プルミエクリュ ヴォークパン 2014
90点
価格:4220円
ヴァンサン・モット シャブリ グランクリュ ブーグロ 2012
92点
価格:5730円
輸入元:BB&R

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP