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1995を再評価、アンリオのキュヴェ・デ・アンシャンテルール

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 シャンパーニュのヴィンテージ1995が見直されている。8月、9月の雨で腐敗が広がったため、1996の影に隠れて、評価が低かった。ここにきて、熟した果実と、しっかりした酸が再評価されている。

 アンリオの「キュヴェ・デ・アンシャンテルール」もきれいに熟成していた。デゴルジュマンは不明だが、少なくとも6年以上は寝かせていた。意外に酸は強い。ヌガー、炒ったへーゼルナッツ、白トリュフ、チョーキーなミネラル感に縁どられ、クリーミィなテクスチャー。ほろ苦い余韻は長く、継ぎ目がない。シャルドネハウスの本領を発揮した。グランクリュのブドウで仕込むが、まろやかなクラマンのシャルドネとチョーキーなヴェルズネイのピノ・ノワールが柱になっている。20年の熟成によって全開になった。

 持ち込ませていただいたのは、東京・日本橋のフレンチ「ラペ」。「オーグー・ドゥ・ジュール・メルヴェイユ」のシェフと支配人が独立して、2014年に開いた。ホタルイカ、新タマネギ、ソイなど全国の旬の食材を、和のタッチを含むフレンチの手法で上品に仕上げた料理は、優しさと心地よい酸があり、熟成シャンパーニュと調和した。

 赤はブルゴーニュ1998の熟成度合いを確かめたかった。メオ・カミュゼの「ヴォーヌ・ロマネ・レ・ショーム」。今では全房発酵も導入するジャン・ニコラ・メオが、米国市場を意識した抽出の強いスタイルから、徐々にエレガントな方向に向かい始めた時期だ。発売直後は濃厚すぎると感じたドゥニ・モルテやクロード・デュガも今は、きれいに熟成している。
 メオも待つと報われる。濃厚な果実が樽と既に統合して、予想以上にバランスがよかった。長期熟成に耐えるヴィンテージだ。エッジはオレンジを帯びて飲みごろ。ブラウンシュガー、カカオ、腐葉土、ミッドパレットの厚みがたっぷりとあり、長いが、やや単調なフィニッシュ。フィネスと華やかさに欠けるが、これはテロワールゆえだろう。
 レ・ショームは、ヴォーヌ・ロマネのプルミエクリュでは評価が低い。ニュイ・サン・ジョルジュとの境界にあり、全体に粘土が多いとされる。メオ・カミュゼは2.01ヘクタールを持つ最大の所有者。上部斜面も所有しているので、区画に恵まれている。ニュイ的な野性味があるとはいえ、高価なヴォーヌ・ロマネのプルミエクリュの多いメオ・カミュゼの中ではお買い得だ。

 北海道産の子牛には上品な血の香りとミルキーなテクスチャーがあり、思いもかけずよい相性だった。平均的なヴィンテージが熟成によって、きれいに発展することはよくある。ワインは開けてみないとわからない。

2016年3月28日 東京・日本橋のフレンチ「ラペ」で

シャンパーニュ アンリオ キュヴェ・デ・アンシャンテルール 1995
94+点
ドメーヌ・メオ・カミュゼ ヴォーヌ・ロマネ・レ・ショーム 1998
90点
購入:2000年に小田急ハルクで 8000円

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