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ローズ・ド・ジャンヌ、ヴァレンティーニとスッポンの相性は?

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 スッポンに何を合わせるか?豊富なコラーゲンから連想したのは、広東料理のスープに使うフカヒレや魚の浮き袋。エキスと粘着性の高いシャンパーニュと白ワインが良さそうだ。そう思って、ローズ・ド・ジャンヌのブラン・ド・ブランと、ヴァレンティーニのトレビアーノ・ダブルッツォを持参した。しっくりこなかった。

 スッポンは白い肉のイメージがあるが、実際には水中で暮らすジビエだった。肝はうなぎ以上に力強さと滋養があり、肉は赤みと血の香りが強い。鍋の前の肝焼きや空揚げは、熟成したピノ・ノワールか、ロゼ・シャンパーニュが最適だっただろう。

 ローズ・ド・ジャンヌの「ラ・オート・ランブレ」は2009年ヴィンテージ、デゴルジュマンは2013年4月。0.1ヘクタールの畑のシャルドネから造られる。温暖なオーブはメゾンの都合で黒ブドウの植え付けが多いが、シャブリに近いことでわかるように、白ブドウのシャルドネ、ピノ・ブラン向きの土壌も広がっている。

 シャルドネ100%のオート・ランブレは、セドリック・ブシャールのけた外れの才能を示した。ガス圧は低く、酸もまろやかで、重さはない。最初の印象は淡泊だが、エキスの純粋さとコルトン・シャルルマーニュのようなミネラル感が層を成して押し寄せてくる。白い花、アーモンド、アカシアのハチミツ。シルキーで、クリーミーなテクスチャー。スモーキーなほろ苦みがあり、余韻には甘さすら感じて、グングン伸びる。樽も、ドザージュもないのに。奥深き山の石清水を感じさせる高貴な液体だった。デゴルジュから3年を経て、輪郭が際立ってきた。ある程度寝かせて、本領を発揮する。

 透明感のある味わいは、まったく曇りのないスッポン鍋のうまみと、最高のハーモニーとはいかなかったが、きれいに調和した。
 手持ちが残り少ないエドアルド・ヴァレンティーニのトレビアーノ・ダブルッツォ。1996は20年を経てフレッシュだった。セドリックのシャンパーニュに負けないほどに。香りが万華鏡のように変化するのは前回と同じ。青リンゴのドロップから、アーモンドの花、黄桃へと。大樽で醸造されているはずだが、最初は還元的なニュアンスがにじむ。ボンビーノ・ビアンコ種から造るこの白ワインは、時代を超えるイタリアの白ワインだ。

 時間がたっても、緑のニュアンスを残し、どこまでいってもピンとした緊張感が張りつめたままだ。最後にそれが開放され、目の前の視界が開ける。官能的な深い余韻が果てしなく続く。終わりのないワインだ。どれほど待てば、熟成するのか。

 いずれも無駄がなく、研ぎ澄まされている。エキスに満ちているが重さはない。スッポンとの相性という点では、よりよい選択肢もあっただろうが、偉大なワインと食事は、お互いに反発しない。両雄並び立つものだとわかった。

2016年1月14日 東京・赤坂の「勢きね」で
シャンパーニュ ローズ・ド・ジャンヌ ブラン・ド・ブラン ラ・オート・ランブレ 2009
デゴルジュマンは2013年4月。
95点
購入:エペルネで 54ユーロ
エドアルド・ヴァレンティーニ トレビアーノ・ダブルッツォ 1996
95点
購入:都内のショップで4500円

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