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ガンコオヤジの造るエレガンス、ドメーヌ・デ・ランブレイ

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 一発で人柄に魅了され、仲良くなれる。色々なタイプの造り手がいるが、ドメーヌ・デ・ランブレイのティリー・ブルーアン氏はそんな男だ。実直な農民。でも、造るワインはこのうえなくエレガント。
 11月は多数の評論家やバイヤーがブルゴーニュを訪れる。ランブレイ訪問は外せない。この日の朝はクリスティーズのアンソニー・ハンソンが訪ね、翌日はBB&Rのジャスパー・モリスMWが来るという。おかげで、少量生産品や古いヴィンテージも開いている。

 あまり知られていないが、ここではロゼを造っている。糖度が10%程度の未熟なブドウをステンレスタンクで仕込む。生産量は300ケース。発酵を終えた2015は桜の花びらのピンク色。グレープフルーツ、ピンクペッパー、心地よい酸とタンニンのあるチャーミングなワインだった。一度は飲みたいブルゴーニュのロゼだ。
 さらに少量なのがピュリニー・モンラッシェのプルミエクリュ・レ・フォラティエール。100ケース。2014はフローラルで、ミラベル、生ハーブ、砕けた石。酸の伸びがあり、余韻が長く後を引く。新樽50%。ポール・ペルノとシャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェにはさまれた好立地。「ベリー・ピュリニー」というティエリーの言葉に納得。彼は白の名手でもあった。
 赤はモレ・サン・ドニのヴィラージュ2014、クロ・デ・ランブレイの2014、2013、2012。ヴィラージュはドライハーブ、黒系キノコ、紅茶。ミディアムボディ。ジューシーでフレッシュ。ティエリーのエレガンスを求める造りがよく表れた入門編だ。新樽比率は3分の1。
 2014はこってりとした果実があり、豊満。骨組みはしっかりしていて、重心は低いが、重さはない。黒系ベリー、ウーロン茶の香り。精緻なハーモニーがある一方で、エネルギーが中心に集中している。全房発酵に由来するスパイシーさが心地よい。クロ・デ・ランブレイの新樽比率は常に50%。
 2013は対照的にやや淡いルビーで、涼しさを感じさせる。テンションがある。レッドチェリー、シナモン、ドライフラワーの香り。きれいな酸とミネラル感が際立つ古典的なヴィテージ。収量はヘクタール当たり26ヘクトリットル。熟成させると美しさを発揮するだろう。
 2012は昨年11月に続いて2度目の試飲。豊かで、さらに深みが増した。凝縮していて、果実味あふれる。ブラックベリー、コーヒー、ブラウンシュガーの香り。継ぎ目のないタンニンとまろやかな質感。長期熟成型のブロックバスター。収量は15ヘクトリットル。

 「怠け者だからヴィンテージに語らせるのさ。2014と2013は対照的なヴィンテージ。2014の方が飲みやすいが、問題は2015がよすぎることだろうな。2012は腐敗以外のあらゆる病気があったので収量が低い。ちょっとリッチすぎたがね」
 全房発酵からくるエレガントとフィネスを大切にするが、言うことはあけすけで、ガラッパチな性格。LVMHトップのボルドーとシャンパーニュ好きをあてこすり、「ワシはルイ・ヴィトンのバッグなんか買わない。服もこれだしな」と綿シャツをめくってみせた。愛すべきガンコオヤジである。

2015年11月4日 モレ・サン・ドニのドメーヌ・デ・ランブレイで

ドメーヌ・デ・ランブレイ ロゼ 2014 
85~87点
ドメーヌ・デ・ランブレイ モレ・サン・ドニ 2014 
88~90点
ドメーヌ・デ・ランブレイ ピュリニー・モンラッシェ・プルミエクリュ・レ・フォラティエール 2014
89~92点
ドメーヌ・デ・ランブレイ クロ・デ・ランブレイ 2014
93~96点
ドメーヌ・デ・ランブレイ クロ・デ・ランブレイ 2013
94点
ドメーヌ・デ・ランブレイ クロ・デ・ランブレイ 2012
96点

輸入元:エノテカ

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