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コンティニュアム2015、山岳部プリチャード・ヒルのテロワールを表現

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 カリフォルニア・ナパヴァレーで、最も地価が高いのはプリチャード・ヒルだ。AVA認定はされていないが、カルトワインのブライアント・ファミリー、コルギンに、新たなワイナリーが続いている。ロバート・モンダヴィの二男ティム・モンダヴィが2005年に設立したコンティニュアムもその1つだ。

 3月に行われたバレル・オークションのプルミエ・ナパ・ヴァレーでは、地区ごとの試飲会が各地で開かれた。プリチャード・ヒルの会場はコンティニュアム。ブライアントとコルギンは参加していなかったが、品質はコンティニュアムが際立っていた。

 設立は2005年。ティムの娘キアラも参画し、2012年からはすべて自社畑のブドウを使い、2013年にワイナリーが完成した。自社のブドウ100%を同じ敷地内で瓶詰めする正真正銘のエステート・ワインとなった。コンセプトは世界に通用するワイン造り。ティムとムートン・ロートシルトのパトリック・レオンが共同で造ったオーパスワンを思い出させる。

 2013年はティムの父ロバート・モンダヴィの生誕100年、ティムのワインメーカー40周年が重なった記念のヴィンテージ。ラベルには「I-40-100」と表示され、ロバートの好きだった鳩が飛んでいる。
 「コンティニュアム 2013」はブラックチェリー、黒鉛、タバコの葉、岩の砕けた香り、タンニンの抽出はスムーズで、継ぎ目はない。強固な骨組みに支えられ、凝縮した果実の中にほのかなミントのニュアンス。深みがあり、焦点があっている。欠点のない2013の大きさと力強さがよく表れている。カベルネ・ソーヴィニヨン66%、カベルネ・フラン21%、プティ・ヴェルド9%、メルロ4%。オーク樽とコンクリートタンクで発酵され、新樽68%のフレンチオーク樽で22か月間、熟成される。
 ティム・モンダヴィは「ステンレスタンクだと、タンニンの渋みが抽出されやすい。樽は深みとふくよかさを、コンクリートはエレガンスとミネラル感が出る。マセラシオンは40日から45日間」という。

 プリチャード・ヒルは、ヘネシー湖から細い道をどんどん上がる。標高は400メートル以上。巨大な岩の多い土地を開墾した。表土は薄く、日中の気温は低く、ブドウの樹のストレスは大きい。ブドウの粒は小さく、凝縮感とミネラル感を産む。ティムがモンダヴィで造ったト・カロン・ヴィンヤードとは、テロワールが異なる。
 完成品の2013とは別に、60以上のロットがある中から、2014年の区画別の樽サンプルを7種、試飲した。性格の異なる畑とブドウ品種を巧みにブレンドして、仕上げているのがよくわかった。とりわけ、緊張感のあるカベルネ・フランと無骨なプティ・ヴェルドの役割の大きさが理解できた。
 「樹齢が高くなれば、さらによくなる。ゼロから育てて100に持って行くのが私の仕事だ」と。

2016年4月11日 東京・六本木で

コンティニュアム 2015
95点
希望小売価格:3万7000円
輸入元:ワイン・イン・スタイル

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