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チリのトッププレミアム、クロ・アパルタの垂直試飲

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 チリのコルチャグア・ヴァレーから産するカルメネール主体のプレミアムワイン「クロ・アパルタ」のミニ垂直試飲会が、オーナー一族のシャルル・ド・ブルネ・マルニエ・ラポストールを迎えて行われた。
 クロ・アパルタは家族経営ワイナリー、ラポストールのトップレンジ。ワイナリーはフランスのリキュール、グラン・マルニエを開発したアレクサンドル・マルニエ・ラポストールのひ孫に当たるアレクサンドラ・マルニエ・ラポストール女史が1994年にチリに設立。現在はシャルル・ド・ブルネがCEOを務める。


 クロ・アパルタはモンテス・アルファM、アルマヴィーヴァ、セーニャなどと並ぶチリのトッププレミアムワイン。米ワイン・スペクテーター誌の年間トップ100に15年間で5回選ばれ、2008年には南米で唯一の1位に輝いた。醸造コンサルタントのミシェル・ロランとの共同プロジェクトとして、1997年ヴィンテージでデビューした。コルチャグア・ヴァレーはサンティアゴから南に2時間半の丘陵と平地が広がる産地。
 シャルル・ド・ブルネはチリがブドウ栽培に適する4つの要因に、地勢、ブドウ樹、気温、少雨を挙げた。
 「世界でも最も長い南北に広がる国で、気候が多様で、品種も多彩。フィロキセラ以前の樹齢100年以上の自根の樹が残っている。北は砂漠、東はアンデス山脈、南は冷涼なアルゼンチンのパタゴニア、西は太平洋で四方を囲まれているので害虫が入ってこない。日照は豊かだが、太平洋のフンボルト海流とアンデス山脈からの冷たい風にはさまれ、昼夜の温度差が20度もある。雨は冬しか降らず、生育期は乾燥している」
 コルチャグア・ヴァレーは太平洋と南米大陸のプレートの衝突で生まれたため、2億年前のやせた土壌と1000年前の肥沃な土壌が入り混じる。アパルタ地区にある188ヘクタールのアパルタ・ヴィンヤードは、火山性由来の地質で、花崗岩、粘土、砂質が入り混じる。斜面を滑り落ちた崩積(コルヴィアル=colluvial)土壌なのでやせていて、水はけがいい。畑はオーガニックとバイオダイナミックスの認証を受けている。ワイナリーは6階建ての重力で果汁を移動する構造だ。
 「夕方には、畑が山の影になり、日照がほかより2時間短い。熟しすぎず、適度な酸が乗る。ブドウは80人の女性が手で除梗する。ブレンドはミシェル・ロランと共に決めるが、7、8割入れるカルメネールがカギ。残るカベルネ・ソーヴィニヨンは骨格を作り、メルロは香りと酸をもたらす」


 試飲したのは2012、2010、2006、2002の4ヴィンテージ。2012はブラックベリー、甘草、スムーズなタンニンとクリーミィなテクスチャー。よく熟しているが、はつらつとした酸がメリハリを与えている。ミッドパレットがやや弱いが、フィニッシュはエネルギーがある。
 2010は冷涼な作柄を映してフレッシュな味わい。砕いたレッドベリー、中華系スパイス、タンニンはチョーキーで、果実が多層的に重なっている。長く続くエレガントな余韻。
 2006はミンティで、やや青さが残る。タンニン処理は近年ほど洗練されていないが、青さが複雑性を生み、うまみのある味わい。2002はブランシュガー、タバコ、なめし革、味わいはフレッシュさを保っていて、テクスチャーはまろやか。バイオダイナミックスへの転換を2004年に始め、終えたのが2006年。2010、2012はそうした歩みが結実して、細部まで完成度が高い。
 カルメネールはカベルネ・フランの子孫で、18世紀初期にはボルドーで広く栽培されていた。病害に弱く、収量が低いためすたれたが、現在のチリで成功している。1994年まではメルロと混同されていた。クロ・アパルタには1920年代の自根の樹が残り、高密度で低収量を保ち、カベルネ・ソーヴィニヨンの骨格とメルロのなめらかさを持つ品種の魅力を生かしている。畑の改良によって、品質が向上したことがよくわかる試飲だった。

2016年3月23日 東京・六本木で

ラポストール クロ・アパルタ 2012
91+点
税別参考価格:1万4900円
ラポストール クロ・アパルタ 2010
90点
ラポストール クロ・アパルタ 2006
89点
ラポストール クロ・アパルタ 2002
88点
輸入元:ファインズ

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