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メールランとラフォンのスーパー・プイィ・フュイッセ、透明なミネラルのシャトー・デ・カール

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 高騰を続けるブルゴーニュ白ワインの中で、まだお手ごろなマコネが注目されている。コート・ド・ボーヌのルフレーヴやラフォンが進出し、意欲的な若い世代が台頭している。「アルティザン・ヴィニュロン・ド・ブルゴーニュ・デュ・シュッド」という26の造り手からなる団体も2004年に結成された。ブレット・ブラザーズ、ヴァレット、テヴネ、バローら優れた造り手が加盟する中で、オリヴィエ・メールランはリーダー格になる。


 レ・ゼリティエール・デュ・コント・ラフォンを設立したドミニク・ラフォンが、1999年にマコンの畑を購入する際に相談したのがオリヴィエだ。友人の2人が共同で生産するスーパー・プイィ・フュッセを試飲した。壁に囲まれた2.23ヘクタールのモノポール「シャトー・デ・カール」。1万本から1万4000本が造られる。
 小石混じりの粘土石灰質土壌から産するワインは、グレープフルーツ、砕いた石、蜜ろう、バランスがとれていて、味わいはタイトで正確。精妙さがあり、ほのかにスパイシー。塩っぽさのあるミネラリーな余韻。キラキラした透明感は、ピュリニー・モンラッシェを連想させ、緊張感をはらんでいる。
 2012年に畑が売りに出て、2人はすぐに飛びついた。栽培・醸造はオリヴィエが行うが、収穫やオリ引きの時期などあらゆる判断は相談して決める。全房圧搾、20%新樽での18か月間熟成、多くて年4回のバトナージュなど、基本的な造りはオリヴィエのやり方にのっとている。ラフォンより新樽は控えめ。「周辺は粘土が多くてリッチになるが、このクロは表土が20センチしかなく、フィネスやデリカシーが出る。試行錯誤中で、細部を煮詰めていく」とオリヴィエ。より果実の熟度が上がってスケールが大きくなりそうな予感はある。
 マコネの失敗は、プルミエクリュとグランクリュの申請をしなかったことだ。プイィ・フュイッセ、プイィ・ヴァンゼル、プイィ・ロシェ、サン・ヴェラン、ヴィレ・クレッセの5つのアペラシオンがあるのみ。INAOにプルミエクリュの格付けを申請しているところだ。オリヴィエは「2020年ごろには結果が出るのでは。シャトー・デ・カールはプルミエクリュ候補の一つだ。プルミエクリュが出来るのは産地全体を活性化させるためにも重要だ」と語る。


 「マコン・ラ・ロシュ・ヴィヌーズ VV」の2013や熟成した1987なども試飲したが、大きなポテンシャルを感じさせた。コート・ドールでプルミエクリュ、グランクリュの畑は、普通の農家には手が届かないほど高くなった。マコネなら、購入した当主が生きているうちに利益が出せるという。いろいろな意味で探索すべき産地だ。

2016年3月9日 東京・表参道で

シャトー・デ・カール プイィ・フュイッセ テロワール・ド・クロ・デ・カール 2013
92点
希望小売価格:1万円
輸入元:中島董商店

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