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フランス人の造るナパ・カベルネ、イングルヌックの進化

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 フランス人ワインメーカーがカリフォルニアで造るワイの多くは力強い。アルコール度が高く、凝縮したスタイルになる。風土を表現すると、自然にそうなるのだろうが、イングルヌックのフィリップ・バスコールは違う。エステート・ディレクターを務めていたシャトー・マルゴーを思わせるエレガンスに向かっている。


 「ソーヴィニヨン・ブラン ラザフォード ナパヴァレー 2014」に驚かされた。柑橘系果実、生ハーブ、キレのいい酸があり、フレッシュで、抑制された味わい。ステンレスタンクで醸造する。クリーンだが、果実はしっかりとある。樽で発酵し、新樽で熟成するパヴィヨン・ブラン・デュ・マルゴーより、サンセールを連想される仕上がりだ。ノンマロ、スキンコンタクトせず、アルコール度は13%。「樽はブドウの質を隠す。ナパのワインはオークが強すぎる」とバスコール。


 ルーサンヌ、マルサンヌ、ヴィオニエをブレンドする「ブランカヌー ラザフォード ナパヴァレー 2013」も、ナパヴァレーのローヌ・ブレンドらしからぬエレガンスがある。アカシヤ、アプリコット、リンゴの蜜、トロピカルすぎず、しっかりと酸がある。
 イングルヌックのカスクは、戦前戦後のワイナリーの名声を現代に伝えるカベルネ・ソーヴィニヨンのワインだったが、現在はフラッグシップのルビコンのセカンドワインとして造られている。マルゴーで言えば、パヴイヨン・ルージュ・デュ・マルゴーの位置づけ。「カスク カベルネ・ソーヴィニヨン ラザフォード ナパヴァレー 2012」は甘く、スパイシーで、ダークチェリーのジャム、パレットはやや緩く、青さがあるが、早くから楽しめるチャーミングな味わい。「ステファン・デュルノンクールがコンサルタントになって、カスクをセカンドに位置付け、100%カベルネ・ソーヴィニヨンでなく、カベルネ・フランとメルロをブレンドした。熟成は35%新樽。ルビコンを決める試飲からもれたロットを使う」という。


 「ルビコン ラザフォード ナパヴァレー 2012」は、冷涼だった2011と比べて、はるかに深みと充実感がある。ナパヴァレーの本領発揮。甘草、黒鉛、クローブ、果実がぎっしりと詰まり、中間が充実している。ジューシーで、しなやかなタンニン、14.5%のアルコール度にもかかわらず、しっかりした酸があって、重さはない。
 「ルビコン ラザフォード ナパヴァレー 2013」はカベルネ・ソーヴィニヨン100%。しっかりした骨組みがあり、エスプレッソ、ブラウンシュガー、炭、粒子が細かくてすきがない。クリーミィな舌触りで、とがった鉛筆の芯のように焦点があっている。エネルギーにあふれる長期熟成型の大器。
 ルビコンの評価は、ワイン・アドヴォケイトのロバート・パーカーとヴィノスのアントニオ・ガッローニでは全く違っていて、パーカーは80点台なのに、ガッローニは90点台。味覚の違いと時代の転換を感じさせる。ステファンとフィリップのフランス人コンビが、フランシス・フォード・コッポラから白紙手形をもらって造るイングルヌックはいま、エキサイティングだ。

2016年2月5日 東京・新宿のパークハイアット東京で
イングルヌック ソーヴィニヨン・ブラン ラザフォード ナパヴァレー 2014
88点
希望小売価格:7500円
イングルヌック ブランカヌー ラザフォード ナパヴァレー 2013
89点
希望小売価格:1万1500円
イングルヌック カスク カベルネ・ソーヴィニヨン  ラザフォード ナパヴァレー 2013
90点
希望小売価格:1万4500円
イングルヌック ルビコン  ラザフォード ナパヴァレー 2012
93点
希望小売価格:3万2000円
イングルヌック ルビコン  ラザフォード ナパヴァレー 2013
93+点
未定
輸入元:ワイン・イン・スタイル

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